ルールと理論によるAIエクスポージャーのマッピング

Read the English version published on November 24, 2025.

主要ポイント

人工知能(AI)の革新を本当に推進しているのはどの企業で、投資家はそれをどのようにして判断したらよいのでしょうか。この記事では、リサーチとデータの組み合わせによる、透明性の高いルールベースのフレームワークが、いかにグローバル市場で意味のあるAIエクスポージャーを定義・追跡するのに役立つのか、また、ブルームバーグ・テーマ型インデックスがその手法を適用することで、どうやって同テーマを長期的に、一貫して測定しているのかを検討します。

この記事はブルームバーグ・インデックス・サービシズ・リミテッド(BISL)の株式指数プロダクトマネジャー、Mike Pruzinskyが執筆しました。

今回が、AIが市場をどのように変えつつあるのか、そしてブルームバーグ・インデックスが市場構造やセクター・ダイナミクスで起こりつつあるこの変化をどう反映できるのかを検証する、3部構成のブログ・シリーズの最終回となります。

AIの開発または導入に実際に参画しているのはどの企業なのか、また、単にストーリーや近接性でAIと関連付けられている企業はどこなのかを、どのように判断すればよいのでしょうか。これはささいな問題ではありません。例えば、伝統的なセクター分類において、新興テクノロジーが確立された業種の中には収まりきらないことがよくあります。

アクティブ運用者はしばしば、リサーチと判断力そのギャップを埋めようとしますが、そのアプローチは多種多様で、結果を複製したり比較したりするのは困難です。課題は、データの有無ではなく、それを解釈するための一貫したプロセスを確立できるかどうかなのです。

テーマにタクソノミーが必要な理由

テーマ型インデックスは、伝統的なカテゴリーではなく、アイデアを中心に市場を整理することでその課題の解決に取り組んでいます。 これらインデックスは、構造的トレンドに参加することで、有意義な経済価値を生み出す企業を特定し、透明なプロセスの適用でそのエクスポージャーを定義・測定しようとするものです。

AIの領域ほどそれが重要となる分野はありません。AIの世界は急速に変化しており、伝統的な分類方法では対応できないからです。テーマ投資の増加を踏まえ、前回の記事(こちら)ではこのより広範な変化について考察しました。

デモ申し込み

本稿では、ブルームバーグ・インデックスが開発し、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストチームがサポートするルールベースのテーマ型インデックスフレームワークを使って、この複雑な状況に秩序をもたらす方法について考察します。このアプローチはアナリストのインサイトと定量評価を組み合わせることで、AIが企業をどのように変えつつあるのか、そして投資家が進化するテーマをどのように系統的に追跡できるかについて、より明確かつ客観的な視点を提供します。

Figure 1: Bloomberg Thematic Indices

この取り組みの中心となるのはブルームバーグ・テーマ型プロトコルであり、そのプロセスは定義することから始まります。各テーマの対象範囲は、曖昧さを避けるために明確に定義されます。AIの場合、これは機械学習や自然言語処理、および知覚と推論、自動化を強化する関連テクノロジーにかかわっている企業を特定することを意味します。アナリストは、そこからAIエコシステムをマッピングし、開発者、イネーブラー、サービスプロバイダー、エンドユーザーに分類します。これにより、推測をタクソノミーに置き換える構造的な基盤ができあがります。

「テーマ戦略は、テーマ型というレンズを通してグローバル株式、ETF、プライベート市場を一つにまとめ、投資機会の発見方法を再定義するもので、データ駆動の精度と集合的なインサイトを活用して、AIのようなパワフルな長期的傾向を対象に将来を予測する俊敏なリサーチを構築します。その焦点は、世界がどこに向かうのか、という点です」と、ブルームバーグ・インテリジェンスのテーマ戦略統括、Breanne Doughertyは述べています。

ノイズの中のシグナルを見つける 

対象が定義されると、ブルームバーグの自然言語処理ツールが、企業の報告書、プレゼン資料、決算発表の書き起こしを分析し、テーマ(またはこの場合はAIエクスポージャー)が有意に言及されている場所を特定します。

このデータ駆動型のスクリーニングプロセスは、企業の開示情報から得られるシグナルを活用し、企業ユニバースから幅広く情報を収集します。その後、人間のアナリストが結果をレビューし、エクスポージャーが表面的なものや単なるプロモーションではなく、正当で戦略的に有意なものであることの検証を行います。このようなテクノロジーと判断力の組み合わせが目指すのは、テーマが企業宣伝ではなく、現実に根ざしたものとなるようにすることです。

Figure 2: Theme Basket Construction Process

その後、各企業は収益エクスポージャーとテーマ関連性という二つの主要な観点で評価されます。収益エクスポージャーは、その企業の将来の収益がどれだけAI製品やサービスからのものかを測定し、テーマ関連性は、そのテーマの中において当該企業が戦略と競争面でどのような位置付けにあるかを評価します。これらを組み合わせて評価することで、経済的な依存関係と戦略的重要性の両方を定量化します。

Figure 3: Artificial Intelligence Basket

図3に示すように、米グーグルの親会社アルファベットは、収益エクスポージャーとテーマ関連性の双方で評価は1となっており、可能な限り最高の複合評価を達成し、AIに対して深く多様なエクスポージャーがあることを反映しています。アルファベットは、検索、クラウド、YouTube、広告といったコア事業全体にAIを組み込み、関連性を強化するとともに運用を自動化し、ユーザーエンゲージメントを高めています。

また同社は、グーグル・クラウドのAIインフラを通じて、企業や開発者向けに高度な機械学習と基盤モデル機能を提供することで、より広範なAIエコシステムの実現において中心的な役割を果たしています。これは、AIへの貢献が見過ごされがちな企業、またはそれを定量化することが難しい企業のAIエクスポージャーを評価するための構造的な方法を、ルールベースのテーマフレームワークがいかに提供できるかを示すものといえます。

構造の境界を評価する

ブルームバーグ・テーマ型プロトコルは、ファンダメンタルリサーチとルールベースの厳格さを組み合わせたものです。この組み合わせは、テーマ・エクスポージャーのための体系的なフレームワークを提供し、投資家は各企業が組み込まれる理由と、時間の経過とともにそれがテーマにどれだけ寄与しているかをより明確に把握できるようになります。

「ブルームバーグの目標は、テーマに関する詳細なリサーチを投資可能なインサイトに変えることです」と、ブルームバーグの株式商品開発統括、Gaurav Pendseは述べています。「ブルームバーグ・インテリジェンスは、AIに対して有意なエクスポージャーを持っている企業を体系的に特定します。ブルームバーグAIインデックスは、同リサーチに基づいて開発されました。これはAIへの関与が最も高いと評価される50社を追跡するものです。各組み入れ銘柄は、時価総額と収益ベースのエクスポージャーの組み合わせで加重されており、結果的にそれがルールベースのベンチマークとなり、AIがグローバル株式市場をどのように変えつつあるかを反映する指標となっています」

Figure 4: Bloomberg Artificial Intelligence Index Normalized Historical Performance

テーマのパフォーマンスを評価するため、ブルームバーグAIトータルリターンインデックス(BAIT)をテクノロジーセクター全体と比較することができます。図5に示すように、ブリンソン法によるアトリビューション分析では強い相対パフォーマンスが示されます。ブルームバーグAIインデックスは過去5年間、ブルームバーグ世界テクノロジー大中型株インデックス(WORLDTT)をアウトパフォームしてきました。そのけん引役となったのはAIアプリケーションソフトウェアやハイパースケーラー、インフラソフトウェア、半導体へのアロケーションです。

さらに、図5が示すように、収益エクスポージャーとテーマ関連性を組み合わせた複合評価に基づき、テーマへの関与度が高い企業ほど、テーマへの関与度が低い企業よりも概して良好なパフォーマンスを示しています。

Figure 5: Bloomberg Artificial Intelligence Index Attribution by Exposure and Assessment

このパフォーマンスには、伝統的な分類を超えて、テーマトレンドを捉えるために設計された、透明かつルールベースのアプローチの効果が反映されています。ブルームバーグAIインデックスは、アナリストのインサイトと定量評価を組み合わせることで、進化するAI環境の中で企業がどのような位置付けにあるかを理解するのに役立つ将来を見据えたフレームワークを提供します。

AIやその他の変革的なテーマが進化を続ける中、ルールベースのテーマ型インデックスは絶え間ない変化に秩序をもたらします。エクスポージャーを定義し、一貫性をもって測定し、ストーリーとともに進化することで、構造がイノベーションを制約するのではなく、むしろ強化しうることを示しています。それが、長期的なテーマがどのように真の経済価値に変換されるかを理解するのに役立ちます。

進化するAIの市場インパクトをマッピング

本稿は、AIの投資環境を考察する3部構成のシリーズの第3部となります。

第1部では、AIが市場をどのように変えつつあるのか、そしてブルームバーグ・インデックスが市場構造やセクター・ダイナミクスの変化をどのように反映できるかを考察しました。

第2部では、AIバリューチェーンのマッピングに焦点を当て、半導体、クラウドインフラ、モデル、アプリケーションがどのように価値を創造し、ブルームバーグのインデックスが投資機会をどのように測定するかを説明しました。

本シリーズを通して提示されたインサイトの目的は、AIが金融市場に与えるインパクトについて投資家の理解を深め、ブルームバーグ・インデックスがどのようにイノベーションを測定可能なエクスポージャーに変換しうるかを示すことにあります。

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ブルームバーグAIインデックス算出法

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