Read the English version published on May 2, 2024.
データ・スポットライトにようこそ。このシリーズでは、データライセンスを介してdata.bloomberg.comで提供される8000以上のエンタープライズ・データセットから得られるインサイトを紹介します。
この記事では、サステナビリティ・リンク・ボンド、ESGバックテスト、欧州ESGテンプレート(EET)、資金調達排出量を考慮したブルームバーグの最新GHG予想モデルなど、サステナブル・ファイナンスに関するデータ・インサイトに焦点を当てます。
1. サステナビリティ・リンク・ボンドのパフォーマンスを体系的に追跡
サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)は、比較的新しく、高い人気を誇るサステナブル負債性金融商品の一種で、2023年のサステナブル債発行総額の約8%を占めました。
SLBは、その構造的特性が予め定められたサステナビリティ/ESG目標と結びついていることから、発行体の利益を気候変動や環境目標と繋ぎ合わせることを目指しています。 投資家がSLBのパフォーマンスを評価できるよう、ブルームバーグのサステナブル債データ・ソリューションは主要パフォーマンス指標(KPI)名や持続可能パフォーマンス目標(SPT)値など、さまざまなデータポイントを提供します。このデータセットの奥深さと幅広さが、SLBを体系的に分析する際の鍵となります。SLBの目的やパフォーマンス指標が発行体によって異なるため、この分析作業はこれまで困難を伴うものでした。
表1は、投資家が特定債券のパフォーマンス指標と現在のパフォーマンス状況を詳細にモニターできることを示しています。
ブルームバーグのお客さまは、ブルームバーグのサステナブル債データと当社のESG企業報告データ(1万5000社をカバー)をリンクさせ、企業のESG目標のパフォーマンスと透明性を追跡することも可能です。チャート1は、イタリアの電力会社Enelの全発電容量に対する再生可能エネルギー発電容量の割合が、2027年SLBに関してペナルティ発動とならないために必要な60%を上回る見込みであることを示しています。
テーマ: サステナブル債
役割: 債券ポートフォリオマネジャー、リスクマネジャー、ESGアナリスト
ブルームバーグ・データセット: サステナブル債、サステナブル債(銘柄別)、ESG報告企業
2. ESGバックテスト:業界の洞察を明らかにし批判に対処
世界中で報告されているESGデータが急増する中、どの指標がどのセクターにとって財務上重要なのかを理解することが難しくなっています。重要ではない情報を排除するために、強固で透明性の高いスコアリングモデルを用いることで、投資家はどのESG要素が財務パフォーマンスに影響を与えているかを把握できるようになります。ESGスコアを評価する際には、立証性の高い投資判断の根拠となる入力データと算出方法を理解することが重要です。
ブルームバーグは、1万4000社以上の企業を対象にデータ・ドリブンで透明性に優れたESGスコアとパーセンタイルを提供しています。
ブルームバーグのスコアは企業報告データに基づいており、データガバナンスの欠如を補うためのプロキシは使用していません。 ユーザーにとっては、企業がどのデータを開示し、どのデータを開示しなかったかの区別が明らかになり、情報開示がどの程度適切に実施されているかを把握することができます。チャート1と2は、地域やセクター別の企業のESGパフォーマンスが広範囲に広がっていることを示しています。
ESGスコアとその構成要素をバックテストすることで、チャート3に示されるような石油・ガスセクターにおける環境活動と財務指標との正の相関関係など、市場パフォーマンスに関する洞察が得られます。
ESG基準に市場がどのように反応するかをモニタリングすることは、投資家が企業のスクリーニングを行う際に、従来の財務基準をESGと統合し、より多くの情報に基づいた意思決定を行う上でも役立ちます。
ESGのバックテストに関する詳細情報は、このブログ記事をご覧ください。ブルームバーグのESGソリューションズの詳細は、当社のウェブサイトをご覧ください。
テーマ: ESG
役割: ESGポートフォリオマネジャー、ESGアナリスト
ブルームバーグ・データセット: ESGスコアと透明性
3. 欧州ESGテンプレート:持続可能な慣行に対する透明性の確保
ファンド投資家にとって、ESGへの配慮はより一層高まり、透明性があり、標準化されたESG報告の必要性が強まっています。欧州ESGテンプレート(EET)は、資産運用会社がESGパフォーマンスを開示するための包括的な枠組みを提供する極めて重要なツールとして注目されています。一貫性があり、比較可能なデータセットを提供することで、EETは規制上の要件だけでなく、投資家にとって強力で標準化された参照資料になります。さらに、資産管理運用会社にとって、EUの第2次金融商品市場指令(MiFID2)投資家保護コンプライアンスを支える役割も果たします。
EETデータを用いて投資家が回答できる例として、「ファンドがどのようなサステナビリティ・ポリシーを掲げているか?」という質問があります。チャート1が示すように、第9条ファンドの大半は、環境または社会的特性を持つ銘柄に少なくとも70%投資することを意図しています。
環境または社会的特性を促進し、良好なガバナンスを実践すべき第8条ファンドと比較して、第9条ファンドはサステナブル投資を通じて社会または環境にプラスの影響を与え、その中核に非財務的な目標を定めていることに留意する必要があります。
このような質問にはブルームバーグのESG規制ファンド報告データを活用して回答できます。チャート2が示すように、このデータは350種類以上のデータ項目で2万7000以上の個別ファンドをカバーしています。この包括的なデータセットにより投資家はESG投資に関するファンドの方針とその実施状況を詳細に理解できます。
テーマ: ESG
役割: ファンドアナリスト、ESGアナリスト、ポートフォリオマネジャー、コンサルタント
ブルームバーグ・データセット: ESG規制ファンド報告
4. 最新のGHG予想モデル:資金調達排出量
ブルームバーグは、ボトムアップ・アプローチを用いてPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)が公表するガイドラインに従い、モデルを使用して資金調達排出量を推定しています。このモデルでは、金融機関の融資残高、長期投資、保有銘柄データに関するブルームバーグ保有の広範なデータを活用しています。
このモデル・アウトプットは、金融機関のスコープ3のGHG排出量推計値を表示します。さらに資金調達排出量を金融機関の融資残高と長期投資によるものと、運用資産残高によるものの二つのバケットに分類する二つの新しいデータ項目も更新します。
チャート1は、金融セクターの業種別にGHGスコープ3の資金調達排出量のカバレッジを示しています。
テーマ: GHGスコープ3 – 資金調達排出量s
役割: ESGアナリスト、ポートフォリオマネジャー、リスクマネジャー
ブルームバーグ・データセット: 二酸化炭素排出量
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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。