2024年のインデックス展望:サステナビリティ

この記事は、ブルームバーグのサステナブル・インデックス・プロダクトマネジャー、Zarina Nasibが執筆し、ブルームバーグターミナルに掲載されたものです。

Read the English version published on February 1, 2024.

2023年振り返り

ブルームバーグのサステナブル債インデックスにとって、昨年は特に実りの多い年でした。ブルームバーグMSCIパリ協定整合インデックスが、 一昨年発表 され、大きな注目を集めました。また、iシェアーズユーロ建て社債ESGパリ協定整合気候UCITS ETF(上場投資信託)の資産額も3.5倍増加し14億ユーロ(約2237億円)となりました。

また、ブルームバーグのグリーン、ソーシャル、サステナビリティの各ボンドシリーズの提供も開始されました。社債からソブリン債、国際機関債、政府機関債、地方債および証券化商品と幅広い商品を対象に、専任のブルームバーグ債券・ESGデータチームが個別に調査、管理しています。債券はブルームバーグの豊富なデータ収集および処理技術を活用して検証され、適切なタグ付けが行われます。 すべての債券はさらに詳細な検証を経て、発行体が提出するインパクトおよびアロケーション・リポートを通じて継続的な報告状況が確認されます。 こうしたプロセスによって、適格なサステナブル債券で構成される優れたユニバースが生まれインデックスに組み込まれます。

インデックスの提供以外にも、ブルームバーグは数多くの招待制円卓会議を開催して、世界の資産保有者コミュニティーとの関係を深めてきました。こうしたイベントは、資産保有者に対して開かれた同業者間での話し合い、サステナビリティを多岐にわたる場面で実践する際の課題やソリューションを共有する、オープンな場を創出することを目的として企画されました。 2024年のイベントへの参加をご希望の場合は、当社チームまでご連絡ください。

2023年を通してアジア、中東、欧州で資産保有者とオープンな議論を重ねてきましたが、2024年のサステナブル・インデックスの分野で注目されるとブルームバーグが考える中核的なトレンドは以下の通りです。

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2024年の展望

1. パリ協定に向けた多岐にわたる道筋

ネットゼロ達成に向けた最初のガイダンスであるパリ協定整合ベンチマーク(PAB)と、それほど厳格ではないバージョンである気候移行ベンチマーク(CTB)は、欧州委員会が2019年に策定して以降、幅広い投資家によって採用が増加しています。 また、精査項目が増え、PABのいくつかの欠点や予想外の結果も指摘されてきました。最も注目されたのは、国連によって発足したネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)が発表したガイダンス、「Development and Uptake of Net-Zero-Aligned Benchmarks(ネットゼロ整合ベンチマークの開発と採用」です。この文書にある10のコア原則は、気候変動に関する機関投資家団体(IIGCC)のガイダンス、「Enhancing the Quality of Net Zero Benchmarks(ネットゼロ・ベンチマークの質の向上)」とともに、投資家に積極的な行動を呼びかけるものです。

お客さまとの対話を通じて、2024年は脱炭素化ベンチマークを巡るアプローチが、より繊細で思慮深いものへと発展していくとブルームバーグでは期待しています。それには、ポートフォリオ構成銘柄の発行体が属すセクターや地域に応じて脱炭素化のスピードが異なることを考慮した指数(今年開始予定のブルームバーグ移行パスウェイ指数など)や、償還への道筋を示さずに広範かつ機械的な除外を回避する指数が含まれることになるでしょう。

2. 目標から具体的行動へ

2023年には、将来の見通しに関するデータの増加が見られました。 このコンセプトは、排出量削減目標やグリーン認証のそのほかの観点への誓約によって、炭素排出を改善するという意図を示す企業の姿勢を取り入れていくことを目指しています。しかしその定義が明確ではなく、企業の開示内容と意義のある行動との関連性があまりないことが示されました。

2024年には、より多くの企業が移行計画の開示に動き出し、自社のコミットメントを実体経済における温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた具体的な目標や行動に移すことで説明責任を果たすようになると、ブルームバーグでは予想しています。 同様に、企業の目標と計画の信頼性を厳格に評価する新たなデータセットと枠組みへの注目度が高まり、ネットゼロ目標達成のために企業が確固とした行動をとることも予想されます。

3.生物多様性が次の「気候」となるか

自然損失の経済的影響への取り組みを続ける中、生物多様性とサステナビリティに関する規制には大きな変化が起きています。欧州では、健全な生態系を育成することが、最近制定されたタクソノミーにおける六つの重要な環境目標の一つとして認識されました。この目標は、必須インパクト指標として、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)にも反映されています。

こうしたトレンドは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)下の自主的な報告基準が、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)による生物多様性関連開示の検証の場となったことにも示されています。さらに、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)における生物多様性関連開示が示すように、今後制定される報告基準にも影響を及ぼすでしょう。

市場参加者は自然関連問題がもたらす財務における重要性への認識を深めており、サステナビリティが財務面での意思決定にどのように組み込まれるかを巡り、極めて重要な転換点を迎えています。TNFDとの協働でまとめられたブルームバーグNEF(BNEF)の報告書、「When the Bee Stings: Counting the Cost of Nature-Related Risks(ミツバチが刺す時:自然関連リスクのコスト計算)」は、自然とうまく向き合っていなかったことで企業が重大な被害を受けた10の事例を分析しています。調査では、物理面、移行面、および構造面の3種類のリスクが対象となっています。その例として、2007年に英農場経営会社、バーナード・マシューズ・フーズで起きた鳥インフルエンザ大流行、米テスラのベルリンでのギガファクトリー建設遅延、および水質汚染に対する米3Mの法的責任などが挙げられています。報告書は、気候変動と自然損失が本質的に絡み合っていること、ならびに企業と経済に対するその経済的影響に焦点を当てています。

生物多様性への影響を評価するための信頼性のあるデータセットと枠組みへの注目度の高まりが、2024年に見られるでしょう。これらのツールは、生物多様性投資のためのより明確なガイドラインとベンチマークを投資家に提供するでしょう。

4. 一貫性のある、真のマルチアセット・アプローチ

サステナビリティの歩みは、株式ポートフォリオにおいては数十年さかのぼって幅広く確認することができます。社債の分野では株式の‌データセットが活用されており、ソブリン債指数も主流になりつつあります。

その好例がブルームバーグ政府気候スコア指数です。同指数では、ESGスコアが高い国が発行した債券の指数に占める割合を増やすことによって、良好なサステナビリティ特性を持つ国の比重が高まります。この指数では、各国の炭素移行、電力セクターの移行、および気候政策が考慮されます。Climatescopeプロジェクトの一環として収集されたBNEF独自のデータは、電力移行スコアを推進するもので、各国の全国レベルの発電容量と発電量データを独自にまとめたものです。また、風力・太陽光発電容量の追加やクリーンエネルギー投資データの予測も含まれます。

ポートフォリオ内で株式、社債、ソブリン債間で一貫したアプローチを作り出すことも、一般的になりつつあります。 しかし、コモディティーと証券化資産を総合的に評価し、ポートフォリオ全体での整合性を検討する投資家は一握りに過ぎません。

来年は、サステナビリティのカバレッジが全資産クラスを含んだ包括的なものになるとみられ、投資家はネットゼロと整合した真のマルチアセット・ポートフォリオを開発できるようになるとブルームバーグでは予想します。サステナブル投資をコモディティー分野へと拡大する方法の詳細については、こちらのブログをご覧ください。

5. サステナブル目標としてのESGの最終局面か

2023年にはいくつかの重要な規制上の節目となった事項がありますが、今後数年にわたり、ファンド投資プロセスや開示・分類要件に投資家がどのようにアプローチしていくかを左右するでしょう。

サステナブル投資要件を巡っては明確さが欠けていたことから、2022年末と2023年初頭にかけて、PABとCTBを追跡する複数の第9条ファンドの区分変更が行われました。その後、昨年4月に発表された欧州委員会のQ&Aで示されたガイダンスが、PABやCTBのパッシブ運用ファンドは第9条商品として取り扱われるのに十分だと「セーフハーバー(安全港)」を提供したことから、投資家は一定の安心感を得ました。

しかし、昨年発表された金融行動規制機構(FCA)の政策声明で、英国のサステナビリティ開示要件(SDR)と投資ラベルに関する最終規則が定められたことは、重要なマイルストーンとなりました。 すべてのサステナブル商品がグリーンウォッシング・リスクを巡る精査に直面する環境の中、SDRの目的は透明性を高め、投資家にガイダンスを提供することです。

同ガイダンスにおいて、投資家の関心を特に集めたのは、ESGスコアが記載された金融商品は、提案された3種類のサステナブルラベルのいずれの対象としても考慮されない(通常は、財務的マテリアリティが考慮される)という点です。物議を醸す商品の除外や行動に基づく除外を使用するインデックスも、その点同様です。

SDRに加えて欧州証券市場監督機構(ESMA)も、ESGやその他のサステナビリティ関連用語を使用したファンド名に関するガイドラインの協議を経て、いくつかの重要な変更点を最終ガイドラインに反映させることに同意しました。それらに含まれるのは、サステナブル投資基準の引き上げ、移行関連用語のための新しいカテゴリー(PABとCTBの除外要件に対処するため)、環境、社会、ガバナンス(ESG)用語の分離、およびインパクト測定と移行用語といったものです。

SDRの政策声明は確実に、サステナビリティの側面を持つすべてのファンドの2024年の区分変更を促すでしょう。 投資家がサステナビリティラベルを採用するかどうかにかかわらず、ファンドのマーケティングと名称に対して、細心の注意を払うことになるとブルームバーグでは予想しています。 明確さやガイダンスの欠如によってサステナビリティで後れを取っている企業に対し、これらの規制上マイルストーンは、前進に向けた明白な道筋を提供します。ESGスコアを使用した製品をサステナブル商品とみなすかどうかの判断が出たことで、投資フローへの影響が見られるでしょう。

6. 明確さと透明性達成のため、インデックス構築を統合

多様なサステナビリティ目標達成のためのインデックス構築手法は、近年、ますます洗練されてきました。 単純な除外から始まり、傾斜、最適化、または手法の組み合わせに至るまで、複雑さが増しています。 サステナブル指数構築手法の成熟は基本的には素晴らしいニュースですが、‌複雑化が進むことで、インデックスがどのように構築されているか、そして配分決定の真の要因が何かを理解し、説明する投資家側の能力も問われてきます。

2024年には投資家からの圧力を受けて、複雑さそのものは減っていくとブルームバーグでは考えます。理解しやすく、意味のあるインデックスを利用した焦点を絞った、より思慮深いアプローチが取られるようになると予想しています。 それは、最適化された手法や、いくつかのサステナビリティ・データの内容を反映させたインデックスがなくなるという意味ではありません。むしろ、明確で透明性の高い最適化設定が取られるようになること、そして、結果が直感的かつ説明可能であることを確実にするために、構成銘柄の選択が行われる際の異なるデータセット間の相関が注意深く検証されるようになることを意味します。ブルームバーグが提供するサステナブル指数の詳細はこちらをご覧ください

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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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