Read the English version published on November 20, 2023.
本稿はブルームバーグのファンダメンタルズ・データ・アナリスト中込安政と Umer Sadiqが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。ターミナルユーザー様は、こちらから全文をお読みいただけます。
背景
資産家のビル・アックマン氏が、米国債のショートポジションを買い戻したとツイートした。このツイートは、2020年に米国債市場の暴落を引き起こした人気戦略の再来に伴うリスクを警告するものとなっている。
米ヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントの創業者であるアックマン氏は23日、X(旧ツイッター)への投稿で「現在の長期金利で米国債のショートを維持するには、世界にリスクがあり過ぎる」と述べた。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者、ビル・グロス氏も同日、年末までにリセッション(景気後退)に陥ると予想して、短期の金利先物を買っているとコメントした。米10年国債利回りは一時5.02%に達した後、4.85%で引けた。
課題
ヘッジファンドによる米国債先物のショートポジションは、いわゆる「ベーシス取引」の一環として過去最高水準に達した。このベーシス取引とは、先物を売り、レポ市場で調達した資金で米国債現物を買う取引だ。流動性のひっ迫と資金調達コストの上昇により、このポジションは採算が次第に悪化しており、急激に解消されるリスクが高まっている。こうした流れは、米国債の3カ月インプライド・ボラティリティーがコロナ禍後の最高水準に達する中で起こっている。
追跡
ベーシス取引の損益構造を確認する方法は以下の通り:
- コマンドラインに「treasury futures」と入力し、「USZ3 Comdty – 米国債先物 Dec23」を選択。「cheapest to deliver」と入力し、「HCTD」を選択。クイック入力は「USZ3 Comdty HCTD <GO>」
- グレーの[グラフ]タブをクリック
- 「Gベーシス(32nds)」にチェックマークを入れ、「インプライド・レポ」のチェックマークを外す
緑色で示したグロス・マージン(米国債最割安銘柄の現物価格から先物価格を引いて計算)は9月中旬以降ゼロを上回っており、この人気の高いベーシス取引の収益性が低下していることを表す。「スポット」、次いで「ネット」のラジオボタンをクリックし、「実績レポ」にチェックマークを入れると、3月中旬から実際のレポ金利が徐々に上昇していることが分かる。
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