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Read the English version published on November 15, 2023.
2023年は、地球温暖化を放置したらどのような未来が待ち受けているかを垣間見る、重要な年となっています。これを念頭に、ブルームバーグは、炭素市場における投資運用会社カーボン・グロース・パートナーズと提携し、ネットゼロ経済への移行に向けて炭素排出権がいかに重要か、そして組織がネットゼロへの移行プロセスの一環としてオフセットを使うことがいかに簡単かを示す本資料を作成しました。
市場ファンダメンタルズ:非対称的な上振れシナリオ
炭素排出削減目標が一段と意欲的に引き上げられ、それが達成される一方で、炭素排出権の供給は限定されていることから、二酸化炭素排出権価格は今後大幅に上昇すると予想されます。
2023年は炭素排出権市場にとって厳しい一年となっていますが、企業需要の高まりというファンダメンタルズ要因に、炭素排出権の創出を難しくする新規制の導入が相まって、目先、市場は供給過剰から供給不足へと反転する可能性があります。 その結果、炭素排出権価格は、特に需要の多い自然由来のものを中心に大きな上押し圧力を受けるでしょう。
自主的市場と各国のキャップ・アンド・トレード市場、およびパリ協定市場が一体となれば、炭素排出権価格はいち早く、さらに速いスピードで上昇する可能性があります。
高品質な炭素排出権の供給:供給がさらに切迫
高品質な炭素排出権の供給は制約されており、価格には弾力性がありません。四大排出権基準に従って発行されている既存の炭素排出権はいずれも、世界の炭素排出を8日間オフセットできるに過ぎません。
今後2030年まで、またそれ以降も、以下のようないくつかの要因が合わさって供給が制約されることになるでしょう。