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プロジェクトチーム:住友生命保険相互会社 東京本社にて
AIM を活用し、国内外拠点間の取引ワークフローを確立
今般、住友生命はブルームバーグの主要なオーダーマネジメントシステムである AIM(アセット& インベストメントマネジャー)を導入・拡大することで、クロスボーダー取引や為替のポジション管理に関連する複雑なワークフローを統合し、最適化することに成功しました。
グローバルで大幅な効率化を達成
今回の AIM 採用により、従来の課題であった、インターネットメールによる取引フローの電子化が可能となりました。また、バックオフィスシステムへの標準化されたリアルタイムデータによる連携、ブルームバーグ端末を利用した社内コミュニケーションの円滑化等を達成しました。さらにセキュリティの向上、クロスボーダー取引に伴う言語や時差の問題を解消し、グローバル規模で大幅な効率化を達成することができました。
「One Team」体制で迅速な統合が実現
同社および米国子会社シメトラ投資顧問(SIM) 社、デロイト・トーマツ社、そしてブルームバーグの 4 社が、ワン・チームとして、クロスボーダー取引のさまざまな課題に柔軟に対応しつつ、迅速な実装を成功させることができました。各社の課題、そしてソリューションについて、経営陣および各担当者にお話をうかがいました。
松本 巌 住友生命執行役常務
■ 一定の信用リスクをとることで収益向上が見込める
Q: One-team project とは何ですか?
松本常務:「One Team」プロジェクトとは住友生命の海外事業債運用チームをシメトラ投資顧問(SIM)社債運用チームへ統合した上で、当社海外事業債ポートフォリオの運用を SIM に一任するものです。
住友生命としては、国内の低金利環境が継続する中、「一定の信用リスクをとることにより収益向上が見込める資産」として海外事業債への投資を拡大させてきており、今後も基本ポートフォリオの想定においてはさらに残高を拡大させる想定です。ただ、さらなる残高拡大を見据えると東京で行っていた運用体制には様々な制約があり、その安定収益確保とパフォーマンス向上は、住友生命の資産運用において重要な課題となっていました。「One Team」プロジェクトはこの課題の解決に大きく貢献することが期待されます。
一方でSIM としては、シメトラを超える運用力を提供することで、市場での存在感を高めることを目指しています。住友生命のポートフォリオを運用することで、SIM はより大きなスケールメリットを得ることができ、それが最終的な利益となります。
住友生命グループ全体でシナジーを発揮し、資産運用を強化するため、「One Team」プロジェクトは非常に大きな一歩になったと考えています。
■ 深い信頼関係の構築で決断が可能に
Q: 困難を感じられた点や、逆に何か新しい発見などもありましたらお話しください。
松本常務: 住友生命がSymetra Financial Corporation およびその子会社( 以下集合的に「シメトラ」) を買収した 2016 年以降、資産運用についてシナジーを発揮の可能性を模索してきました。まずはゼロからお互いを理解することに重点を置いて、シメトラのマーク・ハント CIO らとのミーティングを重ねてきました。
シメトラは以前、運用部門を外部委託していました。そして2015 年、その外部委託していた投資顧問会社からマークと少人数のチームが投資部門としてシメトラに入社したのです。マークがチームの強化に取り組む中で、私たちは緊密な連絡を取り続けました。2019 年、シメトラの投資部門業務は新しい系列会社であるSIM に移行、それから住友生命はSIM に資産運用を委託するようになったのです。
これまでの過程を通じて、マーク・ハント氏のチームの投資哲学が一貫しており、当社の投資方針と強く合致していることを確認することができました。特に、SIM の強みである市場下降リスクの管理能力については、投資哲学に沿ったポートフォリオの構築・運用だけでなく投資後のモニタリングも徹底していることにも満足しています。これらは当初想定したよりも両社の資産運用における相性が良いことを示しており、驚きでもありました。また、何よりこの間にマーク・ハント CIO との深い信頼関係を構築することができたことが大事だったと考えています。
当社としては、30 兆円の資産のうち 3 兆円という大きな金額を運用委託するのは初めての経験であり、難しいプロジェクトになると思いましたが、この深い信頼関係がその決断を可能にしました。
「One Team」プロジェクトは、実務面では業務フロー、システム対応等の多くのワークストリームはもちろんのこと、当社の海外事業債チームを米国のSIM チームに派遣し、グローバル人財を育成するというミッションも課せられた大きなプロジェクトとなりました。プロジェクトの実施を決断し、準備を開始してから 2 年あまり、まさに両社、関係者が一丸となった「One Team」の働きにより、ようやくスタートすることができました。
■ グローバル人材:資産運用の真のプロフェッショナルを育成
松本常務: 今後は、「One Team」プロジェクトで海外事業債運用の収益力向上を求め、効率的な体制の構築が可能となります。しかし、このプロジェクトが真に成功するか否かはこれからだと考えています。まずは運用パフォーマンス向上を段階的に進め、中長期的にはグローバル人財の育成を進めていきます。
また、人材育成については、資産運用の真のプロフェッショナルを排出していくために、必要な仕組み、PDCA (Plan-do-check-act) サイクルを回していきたいと考えています。住友生命で若い優秀な人材の初期育成を担い、SIM で運用プロフェッショナルとしての実戦経験を積んでいくことができます。これまで外部金融機関への短期間のトレーニー派遣等により、人材育成をしてきましたが、あくまで初期育成に過ぎませんでした。SIM において、各々が責任を持って、実践していく機会は非常に貴重です。グローバル人財の育成としても、住友生命グループ内でこれに勝るサイクルは無く、他の部門にも人財を排出する部門を目指し、会社の人材育成への貢献も目指していきたいと思います。
■ 運用パフォーマンス向上を目指して
松本常務: 運用パフォーマンスの向上については、事業債運用には現地での目利き、銘柄選択が可能な体制の構築が圧倒的に有利であり、住友生命からの人材も含めたチームをしっかり機能させることで着実に進めていきます。
現在、日本国内での投資環境は引き続き厳しいと予想されるため、海外での投資手法の多様化を引き続き検討していきます。SIM は、住友生命グループの海外における投資運用の顧問および拠点としての活躍が期待されています。SIM を活用した「OneTeam」プロジェクトで構築した体制を、他の投資戦略にも拡大することで、住友生命の人材育成や専門性を高めることができます。今後、そのような展開も検討していく予定です。
ブルームバーグNY本社にて:左から松本 巌 氏(住友生命 執行役常務)、マイケル・ブルームバーグ、藤村 俊雄 氏(住友生命 執行役員)
■ 効率的な運用体制で更なる飛躍へ
松本常務: 海外の運用力強化、効率的なグループ運用体制の構築等を進め、当社運用部門が更なる飛躍を遂げるための一歩がこのプロジェクトと位置付けています。
日本国内の保険ビジネスは、競争が厳しく、市場も成熟化していることから、中長期的には収益先細りにならざるを得ない状況です。このような環境のもと、資産運用部門での収益拡大の要請、社内の期待がかけられている状況であり、今回の「One Team」プロジェクトは収益拡大の方策の一つとして実現できました。
今後、グループ内の資産運用力を強化し、「One Team」を経て、グループ一体となったスキームも最大限に活用して収益貢献策を検討していきたいと考えています。
シメトラ・インベストメント・マネジメント(SIM)社
CEO/CIO Mark Hunt 氏
Q: SIM社の事業内容、住友生命との関係、また今後の計画についてを教えてください。
Hunt 氏: シメトラ・インベストメント・マネジメント(SIM)は、シメトラ・ライフと住友生命やその他関連会社を対象に、主に債券やデリバティブ、オルタナティブ投資を運用する、米証券取引委員会(SEC)に登録されている投資顧問会社です。将来的には、第三者の機関投資家様に向けた投資運用サービスの提供も計画しています。また、SIM には、商業用不動産担保ローンの組成・管理を行う子会社もあります。
関係性強化と資産運用における相乗効果
Q: SIM社にとっての「One Team」プロジェクト」とは?
Hunt 氏:「One Team」プロジェクトによって、SIMと住友生命との間での、投資業務における相乗効果が向上し、関係性が大幅に良くなりました。SIM の運用資産も、「One Team」プロジェクトの成果によって大幅に増え、多くのカウンターパーティーとの取引高が増え、関係性が強化されました。
Q: ブルームバーグのソリューションはどのようにお役に立ちましたか?将来、このプラットホームをどのように活用されるご予定ですか?
Hunt 氏:SIM は設立以来、ブルームバーグのサービスを利用しており、ブルームバーグはこのプロジェクトを実施する上での重要な役割を果たしました。また、SIM では投資運用管理やトレーディング、業務、コンプライアンス、報告といった各分野でブルームバーグを広く利用しています。
海外資産での投資拡大が急務だった
Q: 中野様は全体のプロジェクトマネジャーとして、企画段階から一貫して関わってこられました。「One Team」プロジェクトとはどのようなものか、概要を教えていただけますか?
住友生命運用企画部運用調査室長中野 弘康 氏:「One Team」プロジェクトは、「当社の米国子会社の投資顧問会社である SIM へ、海外事業債運用の運用委託を行う」というプロジェクトです。2020 年度の後半に構想がスタートし、2021 年の 1Q に正式なプロジェクトとして発足しました。当初は数名程度でスタートし、最終的には、自社関連部署、SIM 社、デロイトトーマツ社、ブルームバーグ社の総計では 50-60 名程度にまで拡大しました。
Q: 海外へ運用委託しようとした主な理由は?
中野氏:長期にわたる低金利環境が継続する中、日本の生命保険会社がお客さまに約束した予定利率以上の収益をあげるためには、国内の投資だけでなく、海外資産への投資拡大が必要です。そのためには「海外現地で投資を行う体制を整備すべきではないか」とずっと考えてきました。
クロスボーダー取引に伴う課題が山積み
Q: プロジェクト遂行にあたってにはどのような課題がありましたか?
中野氏:まず国や言語、時差、ワークフロー等の異なる資産運用体制をどのように融合させるか、次に日本における規制をどうクリアするか、そして日米 3 社(住友生命、SIM、SAM)間の業務フローとシステムを如何にシームレスにつなぐかというのが主な課題でした。
初めから「One Team」で
Q: それぞれの課題について、具体的に教えていただけますか?
中野氏:一つ目は、別々の国、別々の言語で、それぞれ行っている資産運用体制をどのように融合させ「One Team」としていくか、という課題です。当初は日本人の運用担当チームを SIM へ派遣し、実質「Two Teams」でスタートする構想でしたが、日米両国でディスカッションを進めた結果、「難易度が高くとも、最初から日本人米国人が一緒に「One Team」としてスタートしたほうが、中長期的なパフォーマンスは上がるのではないか」ということで合意し、効率的かつ実践的な「One Team」体制を目指してスタートすることになりました。
Q: 難易度が高いからこそ、始めから「One Team」体制で進められたということですね?
中野氏:プロジェクト名に採用された「One Team」というフレーズは、現地の運用体制構築について議論していた際に SIM の事業債ヘッドである Evan から出てきたフレーズの” We should be One Team” からとっています。
グローバルな運用プロフェッショナルを育成
中野氏:今、現地の日本人出向者は、「One Team」体制の下で、アメリカ人スタッフの方々と日々本気で向き合っており、かなり大変なようですが、その分しっかりと鍛え上げられ、いち早くグローバルな運用プロフェッショナルとして成長してくれるのではないかと期待しています。二つ目は、「日本における新規投資顧問子会社の設立」という課題です。投資顧問業は、日本においては規制業種であり、金融庁関東財務局での登録審査を経なければ開業できません。最終的には投資顧問子会社スミセイ・アセット・マネジメント株式会社(SAM)を7 月に設立し、現在は 7 名のメンバーで業務を行っています。三つ目は、日米 3 社(住友生命、SIM、 SAM)間の業務フローとシステムを如何にシームレスにつなぐか、という課題でした。
システム連携:本社から見た課題
Q: 日本側のエンジニアの坪倉様、そして米国側エンジニアのZaientz様からシステム上の具体的な課題について教えていただけますか?
住友生命運用企画部 坪倉 省一 氏:全員が PMI(Post Merger Integration) 未経験からのスタート。フロント+バックオフィスの業務移管から、決済サイクル移行、為替ヘッジまで、クロスボーダー取引かかわるあらゆる課題を期限内に解決する必要がありました。さらに、本社のコンプライアンスルールの実装もありました。まず、フロントオフィス機能、そしてバックオフィス業務の SIM への移管です。当初は、SIM は証券決済・資金決済やレポーティングを行い、住友生命のバックオフィスチームが引き続き取引を記帳する役割分担でした。次に、社債決済サイクルの移行です。住友生命がこれまで適用していた T+3 から、米国での標準的なサイクルである T+2 に移行する必要がありました。第三に、移行する債券ポートフォリオの一部での為替ヘッジです。結局、この為替取引は日本で行うこととしました。そして住友生命独自の複雑なコンプライアンスルールの実装です。これは、リスク管理および規制・会計上の理由から必須でした。
システム連携:米国子会社から見た課題
シメトラ・インベストメント・マネジメント投資オペレーション部シニア・マネジャーNate Zaientz 氏:シメトラからは、まず、資産購入の決済日までに適切な通貨の現金を確保するために、キャッシュマネジメントや FX取引のメカニズムの開発が必要でした。次に、異なる時間帯での操作のタイミングがあります。日米のあらゆる当事者が行う操作を把握した上での合理的なタイミングで実行できるワークフローの開発が不可欠です。3 つ目は、ユーザー定義データ関連です。両社のデータポイントが異なるため、特別なワークフローの整備が必須でした。4 つ目は、取引を住友生命のカストディアンに通知する方法の変更です。彼らのカストディアンは SWIFT 接続を必要としますが、SIM はそれまで使ったことはなかったのです。5 つ目は、取引ワークフローを変更してブルームバーグのモジュールを当社の日常ワークフローで活用することでした。
AIMが日米間の取引データを連携
Q: 今回のプロジェクトで、ブルームバーグのAIM(アセット・インベストメント・マネジメントシステム)はどのような役目を果たしたのでしょうか?ポジション管理、取引管理におけるデータ連携についてお聞かせ
下さい。
坪倉氏:SIM も住友生命も長年にわたって AIM を使用しており、住友生命は 2020 年に AIM を本番稼働させています。ブルームバーグと協議したところ、複数の AIM データベース間でデータを送受信する事ができる通信技術が「OneTeam」プロジェクトで最適であると提案してもらいました。そこで、AIM が、SIMと住友生命間の取引データを連携させる中心的な存在として使えると考えました。
トレーディング操作を変換、電子送信
Q: 取引データの電子化についてお聞かせ下さい。
Zaientz 氏:ブルームバーグの AIM チームや実装担当チームは、このプロジェクトを成功に導く上で重要な役割を果たしてくれました。AIM はワークフロー全体の DX 化をもたらしました。取引とポジションのデータは SIM の会計業務提供社と住友生命双方の AIM インスタンスに SFTP を介して送られ、同時にブルームバーグのミドルウエアでは、それぞれのシステムに入力できるようにこれらのデータが適切な形式に変換されました。
固有のデータポイントも共有できる
Q: 両社のデータポイントが異なるため、特別なワークフローの整備が必須だったということですが?
坪倉氏:SIMと住友生命ではそれぞれ社内で使用しているデータポイントがあったのですがこれを両社で共有することが必要でした。それまで住友生命は、内部リスク管理のためにこのデータポイントを使用していたのですが、前述したブルームバーグの通信技術を活用し、SIMと住友生命の AIM データベース間で、それぞれのデータポイントを相互に共有・連携できることを確かめました。
Zaientz 氏:ブルームバーグ AIM のクライアントデータ管理機能を活用することでデータポイントに関する住友生命の社内要件を満たすことができ、このデータを AIM 内で取得するだけでなく、必要に応じて下流システムへ送信することもできました。さらに、SWIFT ネットワークとの連携により、(これまで SIM では利用していなかった)SWIFT 経由で住友生命のカストディアンに SIM から取引を送信することで、課題を解決することができました。
システム統合を超え、理想的なワークフローを追求
Q: ワークフローの違う環境下では、統合がたいへんだったのではないでしょうか?
坪倉氏:フロントのワークフローは SIMと住友生命で異なっており、住友生命の現在のワークフローをコピーするだけではなく、AIM のフロントからバックオフィスまでのプロセスをカバーする「あるべきワークフロー」を検討する必要がありました。SIM、住友生命ともに、フロントオフィスとバックオフィス双方のチームが参加して、定期的にディスカッションを行い、「One Team」のワークフローを構築していきました。
実装とテストでは柔軟性と多言語サポートが支えに
Q: 実装段階とテストはいかがでしたか?
坪倉氏:コンプライアンスチェック機能だけでなく、AIM やインテグレーションサービスのさまざまな機能を迅速に実装し、テストすることができました。2022 年 7 月の本番稼働という時間的制約の中、ブルームバーグのサービスの柔軟性を活かし、予定通りプロジェクトを遂行することができました。
ソフトウェアの機能だけでなく、ブルームバーグからの人的サポートも、「あるべき姿」のワークフローとシステムを実現するための大きな支えとなりました。ブルームバーグの日米両国のスタッフは、ユーザ検証(UAT)の全サイクルと、本番環境下で実際の取引をテストするリアルワールド・テストに参加いただきました。また、プロジェクトの過程で発生した問題を解決するにあたっては、ブルームバーグのスタッフによる多言語サポートもとても役立ちました。
投資ガイドラインやコンプライアンス・ルールも
Q: 本プロジェクトは、バックオフィス業務の統合やITシステムの導入のみならず、投資戦略やガイドライン、リスク管理なども検討範囲でした。
坪倉氏:バックオフィス業務のワークフローや AIM のセットアップの議論と並行するかたちで、投資ガイドラインの議論を行いました。そのため、コンプライアンスルールをAIM に実装する際には、柔軟かつ迅速に対応する必要がありました。AIM のコンプライアンスチェック機能の柔軟性のおかげで、このプロセスを加速させることができました。
Zaientz 氏:ブルームバーグ担当者の支援を受け、コンプライアンスルールを効果的に構築しました。また、トレーディングと決済のワークフローについては、取引執行前に住友生命の投資指針に必ず照らし合わせるように変更しました。
同じOMSを使うことのシナジー効果やメリット
Q: ブルームバーグのソリューションの採用の決め手となったものは何でしょうか?
中野氏:ブルームバーグ社とは、かなり長いお付き合いになります。2016 年に、当社資産運用部門の業務効率化と高度化のため、資産運用業務全般のサポートを行うOMS(オーダーマネジメントシステム)を導入しました。導入は、当初想定よりも難航し、結局全面導入には 2020 年までかかりましたが、ブルームバーグ社には辛抱強くサポートいただきました。AIM 導入の意思決定をする際、当社子会社の SIM も AIMを利用していることは認識しておりましたが、親会社と子会社が同じOMS を使うことのシナジーやメリットとというのはあまり具体的には認識しておりませんでした。ところが 4 年後、実際に「One Team」プロジェクトに取り組む際には、両者が同じシステムを採用していることが、プロジェクトをスムーズに進める大きなアドバンテージになりました。当社とSIM 社とが、別の OMS を採用していたら、異なるシステム間の接続の検討が追加で必要になり、プロジェクト期間がもっと伸びたと思います。
グループの一体化を進めるためにAIMを最大限活用
Q: 今後このプラットホームをどのように活用していきたいとお考えですか?
中野氏:今後は、SIM・SAM・住友生命の 3 社は、同じ住生グループとして、資産運用分野で協働できることは協働して行うことで、グループの一体化を強めていきたいと考えています。「業務を一緒に行う」とはいっても、住友生命・SAM と、SIMの物理的距離は遠く離れており、大きな時差もあります。こうしたハンデを克服するために、グループの一体化を進めていく手段として、今回 3 社間で接続した AIMプラットホームを最大限活用していきたいと考えています。
坪倉氏:住友生命が保有する他の種類の資産をSIM が管理するようになった場合も、現在の AIM/CMF の設定を活用し、迅速に移行することができると考えています。
Zaientz 氏:SIM では将来、ブルームバーグの AIMプラットホームを新規顧客への対応整備への展開も検討しています。
ブルームバーグ日本統括責任者ノーマン・L・トゥエイボーム
このたび、住友生命が新しい資産運用会社を設立される重要な節目において、弊社の強みであるグローバルな金融市場取引における電子化、高度な執行管理や効率化の実現により、業界の新しい基準を設定するサポートができたことを非常に嬉しく思います。また、住友生命の皆さまとは、これまでさまざまなチャレンジを共に乗り越え、協調の精神をもって、一体となって新たな挑戦に取り組めていることに心から感謝申し上げます。
刻々と変化する金融市場で勝ち抜くためには、機敏な対応力が必要です。ブルームバーグは、バイサイドの機関投資家の皆様が市場の動きに迅速に対応できるようサポートします。アルファ獲得やポートフォリオ管理費の削減、リスクとコンプライアンスの管理、最良の取引執行など、ワークフロー全体を通して、お客さまのさまざまなニーズに柔軟に対応できるビジネスソリューションを提供します。
ブルームバーグは 40 年前、世界の資本市場の透明性を高めることで、お客様の意思決定をサポートするというビジョンを持って設立されました。付加価値の高いデータを提供する先見性のあるパイオニアとして、当時まだ債券データへのアクセスが困難であった時代に、いち早く債券データを提供しました。
現在では、当社の端末やソリューションを通じて、32 万 5 千人以上の金融関係者の皆様がより良い投資判断を行えるよう、質の高いデータを革新的なテクノロジーを通じて提供しています。日本経済や世界が大きく変化していく中で、ブルームバーグは日本の金融市場の未来を形作るという貴重な機会における戦略的パートナーとして、皆様に寄り添い、新たな価値を提供し続け、ともに成長を遂げたいと願っています。
住友生命東京本社にて:左から松本 巌 氏(住友生命 執行役常務)、ノーマン・L・トゥエイボーム(ブルームバーグ日本統括責任者)