女性CEO率いる企業に特化したETF、S&P500種上回る好成績

Read the English version published on March 9, 2023.

新しい上場投資信託(ETF)が、女性を企業のトップに据えることがより良いリターンに結び付くことを示した。

「ヒパティア・ウーマンCEO・ETF」(ティッカー:WCEO)は最高経営責任者(CEO)が女性の企業に限定して投資する。これまでのところその戦略は奏功しており、約2カ月前の設定以来のリターンは4.8%と、S&P500種株価指数を上回っている。

ヒパティア・キャピタルのCEOで同ファンドのポートフォリオマネジャーを務めるパトリシア・リザラガ氏は「2023年1月以前は、投資家がリーダーシップの観点からポートフォリオのジェンダーバランスを図れるファンドはなかった。女性CEOを擁する米上場企業のパフォーマンスにスポットライトを当てることで、全ての資産クラスで米国の女性CEOの割合を増せればよいと思っている」と述べた。

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多くの女性が疲労困憊(こんぱい)し、昇進機会が乏しく家事と仕事の両立への支援も不十分な状況に耐えかねて、キャリアを捨てようとしている。こうした問題にもかかわらず、S&P500種構成企業の女性取締役は年初からの2カ月間に34人増え、同時期として少なくとも19年以降で最多となった。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、21年までの10年のうち9年で、女性役員の比率が25%を超える企業は他のS&P500種構成企業と比べ、翌年の自己資本利益率(ROE)が高かった。

ジェンダー平等の推進という同様の趣旨を持つ既存ETFの多くは、女性CEOが率いる企業にのみ投資するWCEOほどは徹底した方針を取っておらず、運用成績はまちまち。そうしたファンドで最大級の1億9900万ドル(約273億円)規模の「SPDR・MSCI・USAジェンダー・ダイバーシティー・インデックスETF」(SHE)の年初来リターンは約3%と、S&P500種の3.8%をやや下回る。インパクト・シェアーズ傘下で3450万ドル規模の「YWCAウーマンズ・エンパワーメントETF」(WOMN)は4.3%。同ファンドはジェンダー平等に関する強力なポリシーを持つ企業に投資する。

リターンは好調だが、ヒパティアはまだ、自社のETFにさらなる資金を集めたいと考えている。

リザラガ氏は「当社の運用資産は160万ドルと、他のファンドに比べわずかだ。平等について関心を持ち、発言する財界リーダーや社会的影響力のある人々がポートフォリオを自らの言動に沿って投資し始めた時、われわれは成功を実感するだろう」と語った。

本稿はPeyton Forteが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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