インデックス事業、金融機関からプロバイダーへ

ブルームバーグL.P. インデックス部門グローバルヘッド スティーブ・D・バークリーへのインタビュー

ブルームバーグは2014年にUBSオーストラリア債券インデックスを買収、さらに2016年にはバークレイズ・リスク・アナリティクス・アンド・インデックス・ソリューションズ(BRAIS)を買収し、相次いで金融機関から債券インデックス事業を買収しました。金融機関による債券インデックス事業からの撤退はその後も続き、2017年にはバンクオブアメリカ・メリルリンチが債券インデックス事業をインターコンチネンタル取引所に売却、さらにシティグループも債券インデックス事業をロンドン証券取引所グループに売却しました。

金融機関は過去数年にわたりコアコンピタンスに経営資源を集中してきました。一連のインデックス事業売却はその一環で、結果として独立系のインデックスプロバイダーが出現しました。

金融機関がインデックス事業を始めた背景

株式、債券、またはそのサブセットを問わず、金融市場で使われるインデックスの開発、マーケティング、維持管理を行うことが、金融機関の戦略にマッチした時代がありました。法人顧客とのリレーションシップ構築の第一歩としてインデックスを無料または低コストで提供し、その後の大きな取引へとつなげることを狙ったのです。

しかしながら、インデックス事業には多額の資金が必要でした。債券トレーディングデスクからの手数料などの形で収益を生んでくれている間は良かったのですが、ディレクテッド取引(運用委託者による発注先指定)から最良執行に移行するにつれて、無料での提供は困難になりました。

また、近年ではパッシブ投資戦略が台頭するとともに、バイサイド投資家が直接得られる市場データおよび先端技術の質が劇的に向上したことから、以前は金融機関に頼っていた多くのことを投資家が自分でできるようになりました。

規制当局も、インデックスベースの投資増加に対応を始めました。LIBORで起きたようなベンチマーク不正操作を懸念して、EUは2016年にEUベンチマーク規則を制定しました。この規則は、IOSCO(証券監督者国際機構)がインデックスおよびその運営機関に対して求める信頼性および健全性基準を、2018年1月1日をもってEU域内に導入するものです。

既に数多くの規制に対応し相応のコストもかけていた金融機関にとって、これはとどめの一撃とでもいうべきものでした。

ブルームバーグインデックス事業のグローバルヘッドであるスティーブ・バークリーは、インデックスビジネス変遷の最前線に立ってきました。ブルームバーグ・バークレイズ・インデックスの多くは旧リーマン・ブラザーズ・インデックスに由来しますが、バークリーはリーマン・ブラザーズのインデックス部門グローバルヘッドを長く務めました。

バークリーによれば、金融機関によるインデックスビジネスからの撤退は多くの投資家にメリットをもたらしました。金融機関は重要な顧客に対してのみインデックスデータを提供していたからです。

「ブルームバーグはインデックスに関する全プロセスの民主化を進めています。ブルームバーグターミナルにログインさえすれば、当社のあらゆるインデックスの構成銘柄、パフォーマンス、リスク特性を追加費用無しで見ることができます」とバークリーは言います。

ブルームバーグはまた、投資家がインデックスをカスタマイズしたり、独自のインデックスを作成したりするためのツールの提供も予定しています。インデックスデータと開発ツールがあれば、機関投資家やそこで働くファンドマネジャーは、非伝統的投資戦略や代替アセットクラスといった新たな試みのパフォーマンスを数値化することができます。

インデックス提供に必要な5つの柱

インデックスのカスタマイズに必要な新しい視点とツールを投資家に提供するためには、インデックスプロバイダーに一定のスキルと専門知識が求められます。具体的にはデータ、プライシング、分析機能、ディストリビューション、リサーチの5つで、バークリーはこれらを「5つの柱」と呼んでいます。

インデックスプロバイダーがまず必要とするのはデータです。株式の場合とは異なり、債券インデックスの構成要素は債券の新規発行、償還、コーポレートアクション、その他多くの要因により大きく変動します。ユニバースが急激に変化するため、それをトラッキングするのは容易なことではありません。

また、インデックスを構成するすべての証券の価格を把握することも等しく重要です。しかし、債券の世界では価格の把握は大変複雑です。

「アップルやゼネラルモーターズなど、株式インデックスを構成する上場株式の価格は誰にでも分かります。しかし、債券は店頭で取引されるためその価格の把握は大変難しいのです。しかも、もし構成銘柄の価格が適正でなければ、インデックスそのものが意味を持たなくなります」と、バークリーは言います。

集めた市場情報や価格情報を一つにまとめ、投資家がインデックスとして参照・使用できるようにするためには分析機能が必要です。バークリーによれば、インデックスを構築するためには2つのレベルの分析が必要です。1つは個別証券の分析(デュレーション、リターン、その他のリスク評価など)、そしてもう1つはポートフォリオレベルの分析(ポートフォリオとベンチマークの比較、トラッキングエラーやパフォーマンスアトリビューションの計算など)です。

「4つ目の柱はディストリビューションです。すべての算出結果やデータは、世界中どこでも必要に応じて瞬時に使えなければなりません。そのためには迅速に計算を行い、その結果を安全な環境において適切に配信することが必要です」とバークリーは言います。

最後の柱は定量的および定性的リサーチです。インデックスプロバイダーは、市場環境がインデックスとその構成証券に及ぼす影響をユーザーに説明し、市場とアセットクラスの変化を捉えるモデルと機能を開発する必要があります。

「これら5つの柱を一つにまとめるのがテクノロジーです。自社のインフラを活用して、未開拓の市場に素早く新商品を投入できるかどうかが鍵です」とバークリーは言います。

この能力を示す一つの事例が、世界第3位の債券市場である中国国内債券市場への高まる関心に対するブルームバーグの対応です。昨年、バークリーとそのチームは一連の「チャイナプラス」インデックスを発表しました。これは、もし主要ベンチマークインデックスに中国が採用されたとしたらどうなるかを示したものです。(先日ブルームバーグは、早ければ来年にも、幾つかの主要ベンチマークインデックスに人民元建て債券を採用予定であると発表しました。)

バークリーによれば、ブルームバーグは最新テクノロジーを活用して、お客さまがブルームバーグターミナル上で独自のカスタムベンチマークインデックスを数分で作成できるツールを提供するとのことです。以前であれば数週間はかかったであろうプロセスを短時間で処理することにより、ベンチマークをアウトパフォームする新戦略をテストするなど、インデックスデータの新たな活用法を試すことができるようになります。

バークリーは、インデックスを巡る環境は今後も速いスピードで進化し続けるだろうとして、次のように語っています。

「将来は債券インデックスが営業終了時だけではなくリアルタイムで算出されるようになるでしょう。インデックスはグローバル債券市場をより網羅的にカバーし、標準化されたトータルリターンスワップなどの代替ストラクチャーの使用が伸びると思います。」

本記事体広告は、Pensions & Investmentsの1部門であるP&I Content Solutions Groupによって2018年4月30日付けのPensions & Investmentsに掲載されました。内容は、Pensions & Investmentsまたはwww.pionline.comの編集者が執筆したものではなく、Pensions & Investmentsまたはその親会社であるCrain Communications Inc.の見解を表明したものではありません。