【端末活用術】小麦価格の高止まり、原油価格より長引くか-予想や先渡し契約に兆候

Read the English version published on April 05, 2022.

この記事はブルームバーグのマーケット・スペシャリスト、Andrew Spareyが執筆しました。英語版はブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

背景

ロシアによるウクライナ侵攻によって世界中のコモディティーのフローに混乱が生じ、バイヤーは、財や人の移動、食糧生産、製造、都市への電力供給などの確保に奔走しています。ロシアは世界第二の原油輸出国で、原油・天然ガス輸出から1日当たり10億ドル以上を稼いでいます。また、ウクライナとロシアを合わせると、世界の穀物貿易のうち約4分の1を占めています。

世界の原油供給増に伴い2022年には昨年の水準から下落すると予想されていた原油価格は高騰が続き、米バイデン大統領はガソリン価格を抑えるために記録的な量の備蓄放出を行い、3月にはその規模が08年以来最大に達しました。一方でOPECは段階的かつ小幅な増産方針を維持しています。

ウクライナ戦争が始まる前から、世界の食品価格は、運搬およびエネルギーコストの高騰に加え、異常気象やパンデミックによる労働不足も相まって上昇していました。食品価格は、国連のベンチマーク指数がこの2年間で40%以上上昇するなど、過去最高に達しています。世界有数の穀倉地帯における戦争の発生によりロシアへの経済制裁が課されたことでウクライナの作物を輸出できない状況の中、一部の国では国内の食糧供給を保護するための措置が講じられるなど、今では深刻な食糧不足の可能性が懸念されており、中でも貧困国ほど大きなリスクにさらされています

課題

ウクライナでの戦争開始など事態が急速に変化しており、その結果として発動されたロシアに対する制裁措置は、すでに需給がひっ迫しているコモディティー市場に長期的な影響を及ぼすと思われます。ここ数カ月間におけるコモディティー予想の変化を個別にみてみると、ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻がいかに価格予想に影響したかが分かります。伊銀行インテーザ・サンパオロ傘下のインテーザ・サンパオロ・ブラジルは9月、22年7-9月(第3四半期)の小麦価格を1ブッシェル当たり650セントと予想していましたが、その後この予想を2倍の水準に引き上げました。

ロシアによるウクライナ侵攻後に修正された銀行の予想によれば、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油価格は4-6月(第2四半期)も足元水準にとどまる可能性がある一方で、小麦価格はさらに13%上昇する可能性があります。22年末までにWTI原油価格は小麦の2倍以上の速さで下落が予想されています。先渡し契約は、23年1-6月(上期)までに原油価格が小麦より速いペースで下落することを織り込んだ価格となっています。

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追跡

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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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