Read the English version published in March 17, 2023.
ブルームバーグのサステナブル・インデックス・ヘッドであるクリス・ハッケルは、目まぐるしく変化する市場の中で、データの深読みとインデックスこそが指針として役立つと述べています。
ファンドマネジャーにとってESG関連の主な課題は何でしょうか？
ESG、気候、サステナブルファンド関連の規制が急増しています。明確さと透明性をもたらすためには、EUのサステナブルファイナンス開示規則（SFDR）など、開示とラベリング規則の導入が必要不可欠となりますが、その他の規則はまだ初期段階にあり、結果的にファンドマネジャーはファンドのラベル付けに前向きとは言えないのが現状です。
最近はEUで、サステナビリティ認定の最高位とされる第9条から第8条に格下げされるファンドが相次ぎました。ブルームバーグ・インテリジェンス（BI）によると、2022年10－12 月（第4四半期）では、資産総額で約570億ドル、70以上の上場ファンドが再分類されています。ファンドマネジャーは依然として、ラベル付けされたESGファンドとサステナブルファンドの発売に意欲的ですが、近い将来、9条ファンドの創設は減るものと予想されます。
データから得られる洞察とインデックスはどのように役立つのでしょうか?
ブルームバーグのサステナブル・インデックス・チームは、特定の目標に的を絞った新たなインデックスを常に組成しています。年初に、ブルームバーグは、調達資金が環境または社会的な目的のために使われる債券のみを含む、ブルームバーグ・グローバル総合グリーン・ソーシャル・サステナビリティ（GSS）ボンド・インデックスを立ち上げました。多くのインベストメント・マネジャーがグリーンボンドファンドへの9条適用を依然として支持しています。ブルームバーグはまた、企業のタクソノミー整合活動からの売上高比率など、EUタクソノミー・フィールドを豊富に取り入れたインデックスも開発しています。
現在の環境下、ブルームバーグでは、規制ラベルの付いたファンドや商品、そしてそれぞれの優先順位に基づいたインデックスに関してファンドマネジャーが必要とするサステナブルフィールドまたはESGフィールド、要因、データをすべて提供することが極めて重要だと考えています。ブルームバーグは、ファンドマネジャーがターミナル上でさまざまな分析に利用できるよう、透明度の高い手法による複数のツールを開発しました。これにはポートフォリオのSFDRリポートの必須項目に対するカバレッジやエクスポージャー、ポートフォリオの炭素排出量内訳と合計、債券のESG債内訳のベンチマーキングなどが含まれます。
ブルームバーグのサステナブル・インデックスはどのように進化したのですか?
サステナブル投資とESG投資へのアプローチは、近年、信じられないほどのペースで変化しています。従来のサステナブル投資はかなり単純なもので、主にバリューベースで企業を選別除外したりESGスコアを統合することで成り立っていました。現在では、サステナブル投資は、ネットゼロ整合ファンドからインパクト投資、ジェンダー平等、クリーンエネルギーまで、さまざまなテーマをカバーしています。
インデックスを提供するブルームバーグは、ESGスコア、主要な悪影響、排出量プロファイルなどのサステナブルな特性とともに、パフォーマンスとリスク特性を捉え、それを代表するベンチマークを通じて、ファンドマネジャーによるサステナブル投資を支援しています。ブルームバーグでは、手法とデータにおける透明性に焦点を据えつつ、サステナビリティに対する多様なアプローチのためのソリューションを提供することを目指しています。
ファンドマネジャーは、得られた洞察を成果につなげるべく、どのように活用するのでしょうか?
ブルームバーグのESGインデックスや、気候インデックス、インパクト・インデックス、テーマ別サステナブル・インデックスを参照するファンドや商品への投資総額は、何十億ドルにも上ります。ファンドマネジャーはブルームバーグが洞察の提供源であり、ソリューションの品質と透明性を信頼しているからこそ、ブルームバーグを利用するのです。サステナブル投資の世界では膨大なイノベーションが生まれつつあり、ブルームバーグはマネジャーにベンチマークや特定目標を達成するための能力と柔軟性を提供しています。
また、世界が低炭素社会に移行するにあたり、影響を受ける特定セグメントの動向を測定、代表するブルームバーグのインデックスは市場に付加価値を与えています。ブルームバーグは、ブルームバーグ・サステナブル・ファイナンス・ソリューション、ブルームバーグNEF、ブルームバーグ・インテリジェンスなど、投資コミュニティから信頼されるチームのデータと専門知識を駆使して、インデックスを構築しています。ブルームバーグは、クリーンエネルギー、再生可能エネルギー、遷移金属などに焦点を当てたインデックスを発表しました。
将来的に何が期待できますか?
サステナブル投資はまだ初まったばかりです。ブルームバーグは、自然と生物多様性などの新たなテーマや、サステナブル投資をさまざまな資産クラスに拡大することに意欲的に取り組んでいます。最近のイニシアチブには、BCOM（ブルームバーグ商品指数）の「カーボン・ティルテッド」版や、気候移行に不可欠なコモディティの指標インデックスなども含まれます。ブルームバーグの米国地方債インデックスにESGスコアを統合し、地方債インデックスを補完するインデックスも開発中です。さらに、住宅ローン担保証券における気候や社会的テーマについてもリサーチしています。
ブルームバーグは、社会、経済、地球にサステナブル投資が与えるインパクトの可能性について、極めて大きな期待を抱いています。
本稿は、The Sunday Timesに初掲載され、Raconteurの『Sustainable Growth & ESG』リポートから転載されました。英文で発行された記事を翻訳したものであり、英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。