S&P500種企業の総合ESGソーシャルポジショニング

Read the English version published on October 6, 2020.

2020年は、金融市場だけでなくデジタル環境において、ユーザーエンゲージメントの大きなシフトが起こった年となりました。デジタル・アクティビズム(ソーシャルメディアを通じた抗議活動)の台頭で、風評リスクが収益に影響する可能性もあり、企業は行動の説明責任をこれまで以上に問われています。過去に使われてきた金融ツールやモデルは、「パーパス・ドリブン」(目的主導型)の今の時代には不十分と見なされてきています。

企業の非倫理的な行動を嫌気する機運が高まるにつれ、金融市場はボイコットやキャンセル・カルチャー(特定の対象による発言や行動を糾弾し排除しようとする動き)の素早い動きに影響を受けやすくなってきています。対照的に、社会的価値観に沿った言動を示す企業は競争力を高めており、プラスの効果が多くの業界で表れてきています。

サステナビリティ、すなわち環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点を通じたソーシャルポジショニング(社会的位置づけ)が重視される新たな時代において、その複雑性に対処するには、投資家や資産運用会社向けにカスタマイズされたオルタナティブデータが役立ちます。ソーシャルメディアから抽出されたデータなどのオルタナティブデータはロバスト性が高く、高速かつダイナミックに取得できるため、より新しく、かつタイムリーなユーザーセンチメントを反映したものになります。

ESGやソーシャルポジショニング・データによる倫理的な投資戦略

「ソーシャルポジショニング」とは、企業の価値観や行動を、その企業のステークホルダーおよび毎日の企業活動に利害関係や影響力がある人々の価値観と一致していることを意味します。企業のソーシャルポジショニング・スコアは、同業他社のソーシャルポジショニング・スコアと比較して使用されます。オルタナティブデータ提供社のOrenda社では、ある企業の日常的または過去の企業活動が、集合的かつ広範な各種ESG目標にどの程度寄与しているかについて、社会がどのように感じているのかをテクノロジーを利用して追跡しています。

Orenda社の最近の白書では、同社のデータセットを用いて、S&P500種企業のうち社会的価値観と活動が一致している企業群を選び出し、社会的価値観とかけ離れている企業群と区別しています。

パフォーマンスの分析として、ソーシャルポジショニングの分布が上位10%、5%、および1%の企業でそれぞれ構成される3種類の理論上のポートフォリオを構築した上で、各ポートフォリオのリターンについて、既定のベンチマークと、ソーシャルポジショニングの分布が下位10%、5%、および1%の企業でそれぞれ構成されるポートフォリオと比較します。分析はリスク調整ベースで、ファーマ=フレンチの3ファクターモデルと5ファクターモデルが適用されています。

1から5までの段階を用いてスコアで表示することで(1が最も悪い)、複雑なESGとソーシャルポジショニングが単純化されています。「信頼性」や社会との関係性を示すその他7つの指標がそれぞれ加重され、企業の総合ESGソーシャルポジショニング・スコアとして算出されます。Orenda社のテクノロジーでは、10分毎にコンテンツを収集してソーシャルポジショニング・スコアを更新することで、各銘柄に対して1日に合計144回の更新が年中無休で行われます。

転換点

Orenda社の実証分析の主な結果としては、ファーマ=フレンチの3ファクターモデルと市場、サイズ、バリュー、収益性、および投資プレミアムを含む5ファクターモデルを適用した上でソーシャルポジショニング・スコアの高さで選定された株式ポートフォリオは、アルファを創出していることが分かります。また、ソーシャルポジショニング・スコアの低い企業のリターンは、これら従来の各ファクターを適用すると、市場平均を下回っていることも判明しました。

Orenda社の報告書全文は、こちらでご参照ください。