「トップ・オブ・ザ・クオンツ」APACハッカソンと投資の未来

Read the English version published on June 21, 2021.

アジア太平洋地域の最も優れた投資プロフェッショナルを集めて、実際の課題に取り組みつつ、互いから学び合う。それは、同地域の企業がその投資ワークフローに新たなテクノロジーを採用するための最適の方法と言えるのではないでしょうか。

それがブルームバーグの「ハッカソン」シリーズの狙いです。このハッカソンでは、アジア太平洋地域から参加の各チームがビジネス課題のブレインストーミングを行い、BQuantデータを短時間で解析し、インタラクティブな開発プラットフォームで問題を解決できるアプリケーションの作成を競います。オープンソースのPythonライブラリに加え、ターミナルならびにBQLなど、ブルームバーグのデータやサービスと統合できるBQuantは、仮説を評価し、インタラクティブな可視化を実現してブルームバーグのユーザーおよび共有したいクオンツユーザーのために設計されています。

2020年初頭に日本国内のお客さまのために開催された第一回ハッカソンが大成功を収めた後、対象地域をアジア太平洋全体に広げ、第1回目の国際版ハッカソンが開催されました。

この「APACトップ・オブ・ザ・クオンツ」のバーチャル・イベントには6カ国から7チームが参加、幅広い金融企業の中から選びぬかれた技能と才能の持ち主が結集しました。新型コロナウイルス感染症拡大のため、それぞれのエントリーの発表の場はバーチャルとなりました。

ハッカソンは、オープンソースをベースとしたBQuantの強力な技術ツールをお客さまがどのように活用しているかを実演する機会を提供するものです。香港やシンガポール、オーストラリア、マレーシア、日本、インドから参加した各チームはそれぞれのアプリケーションを共有して、規模も複雑さも増しつつあるデータの課題を解決し、投資戦略を評価するために使えるBQuantの主要な利点を発表しました。そして各チームが協力して、リサーチを強化するとともにワークフローを合理化できるよう役立つアイデアをお客さまに提供します。

香港 AIA Group InvestmentチームのDan Xystus氏は、「資産オーナーにとって、技術開発と自社の投資プロセス改良の際に、こうした機会は極めて重要です」と述べています。

ワークフローをエンパワー

Principal Asset Managementのシンガポールとマレーシア・チームは、ESG(環境・社会・ガバナンス)を追加ファクターとして統合する「Equities Dashboard」ツールを作成しました。このダッシュボードでは、インタラクティブかつ混合する巨大な内部データセットを通してファンドマネジャーとアナリストをエンパワーしようとするものです。Zian Wei氏は、従来のワークフローは、使い勝手の悪いデータファイルで作業する必要があり煩雑で、個別入力のためのユーザーインターフェースがなかったために分析が困難だったと説明しました。

BQuantを使って株式ユニバースをフィルタリングし、カスタマイズすることで、プリンシパル社はESG総合ファクターを取り入れ、アナリストとポートフォリオ・マネジャーがさらによりよい投資判断を下せるようにしたのです。(生データを処理して整える)「データ・ラングリング」の必要性が減り、すぐにアップデートが可能で、複数ユーザーが簡単にアクセスできる、より順応性に優れた分析が可能となります。

このダッシュボードでは、具体的な証券やセクター、国別の分析を深く行うことができます。チャートをカスタマイゼーションすることで強力な洞察をビジュアルに提供します。Wei氏はブルームバーグのESGスコアとブルームバーグ独自のFMV(ファンダメンタル、モメンタム・バリュエーション)スコアを統合したいと考えています。今後さらに作業を進め、ESGスコアがいかにポートフォリオ運用成績に影響するかを調べ、E、S、Gを使って株式アラートを作成することになるでしょう。将来のダッシュボードのアップデートでは、ニュースフローと市場センチメントの分析が使われる予定です。同時にこのダッシュボードは債券チームのためにも複製されます。

複雑なものを容易に

香港のAIAは「Interactive Data Dashboard」を開発しました。これは、資産・負債管理(ALM)や戦略的資産アロケーション、ヘッジプログラムなど、複数のクリティカルタスクを行うファンドマネジャーにガイダンスを提供するものです。AIAのタクティカル・アセット・アロケーション部門市場ストラテジストDavid Luo氏とその同僚Dan Xystus氏は、このプラットフォームによって、それまで膨大な量のマンパワーとリソースを使い果たしていたワークフローをいかに自動化できたかについて、力説しました。そこではビジュアルに情報を示す共有可能かつインタラクティブな方法で成果が示されれます。Luo氏は、BQuantによってAIAのデータを一元化できたことは、向こう3カ月間にAIAがどの資産クラスに投資すべきかの投資判断を行う上で「非常に重要」で、「BQuantは複雑なデータを分解する多くの方法を提供し、多くのトレンドを素早く見極めることを可能にしてくれます」と述べました。AIAはこれから、事業部門のフィードバックとより多くの指標をダッシュボードに取り入れる予定です。

より多くの情報に基づいたミーティング

日本で行われた最初のハッカソンで受賞した住友生命も今回の国際版ハッカソンに参加し、「Consolidated Databook for Investment Decisions」を発表しました。住友生命の 松栄 共紘氏は、従来は標準的なワークフローがなかったためにチームは「数多く行われるミーティング」のためにそれぞれの報告書を作成する必要があり、非常に時間がかかったと話しています。そのため、住友生命ではBQuantを使ってデータブックを自動化しました。その結果、今では資料が統合・共有され、情報に基づいた効率的な協議が可能となっています。BQuantの柔軟性を利用して、 松栄氏はさらにデータセットを追加してユーザーからのフィードバックも取り入れる予定です。

新たなトレンドを発見

FWD Life Insurance の「Searider」ワークフローは、さまざまなセクターと資産が市場の変化にどのように反応するかを調べるために考案されました。Nicolas Au Yeung氏は、従来、同社の各ポートフォリオに関するリポート作成には「極めて煩雑な20分間」を費やさねばならず、Seariderが必要だったと説明し、「すべてのポートフォリオについてリポートを作成するのにどれくらい時間がかかるか、想像してみてください」と付け加えました。

FWDは信用スプレッドの推移をモニターし、データの柔軟性を提供するとともに、ライブの市場データとブルームバーグのAIMツールを結ぶカスタマイズ可能なリポートをオンデマンドで作成するワークフローを必要としていました。BQuantはこれらの機能をすべて提供できるため、FWDのマネジャーは今では「情報に基づいた決定を素早く下せる」のです。

FWDは今後、Seariderを同社の社内リスク管理プロセスと統合し、日次メールリポートを開発する予定です。

全員が勝者

ハッカソンは共有・学習の場を提供するものですが、競争の要素を加えることでBQuant機能の新たで革新的なアプリケーションが生み出されます。

従って、審査員が「Most Popular App」賞をFWD、AIA、住友生命の3社に授与したのはごく自然なことと言えるでしょう。住友生命はまた、BQuantの継続的なサポートに対して「BQuant Community Pioneer」賞も受賞しました。BQuantの開発に熱心に取り組んでいる企業に与えられる「Key Quantributor」メダルはPrincipal Asset Managementが受賞しました。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。