ゴールド・シルバー・レシオは株式市場の指標となるか

Read the English version published on August 11, 2020.

本稿はブルームバーグのコモディティ・ワークフロー・スペシャリストTodd SibillaとZef Lokhandwallaが執筆しました。

新型コロナウイルスの影響による中南米の鉱山閉鎖や、リスクオフの投資家心理による金価格の高騰が相まって、近ごろ銀が「安全資産」もしくは投資妙味が高い資産とされています。興味深いことに、最近の銀価格の上昇前にはゴールド・シルバー・レシオの変動が見られ、つまり、ゴールド・シルバー・レシオは株式市場全体での変動を示す指標となる可能性があります。

投資家の間で金の供給不安が広がる中、金価格は3月15日以降22%の上昇を記録し、その後も上昇基調が続いています。これを受け、2つの理由により、貴金属に投資する多くのETF保有者や資産運用会社が銀に注目し始めました。すなわち、銀は金ほどコストが高くない代替投資先となるため、そして、足元のゴールド・シルバー・レシオの推移から銀が好調であるのがわかるためです。

下図はゴールド・シルバー・レシオと金/銀のクロス通貨(ターミナル上ではXAUXAG<Curncy>として表示)を示しています。

金の銀に対する比率が高まると(銀に比べて金の上昇率が高いことを意味します)、どちらか一方の価格変化によってその比率が平均回帰すると予想されます(金価格の低下または銀価格の上昇によります)。例えば、2020年3月に124まで上昇したゴールド・シルバー・レシオは今では81となりましたが、10年平均が70近辺で推移していることを考えると高い水準です。そして、銀価格は最近、1オンス18ドルから24ドルにまで上昇しています。ブルームバーグをご利用のお客さまは、ターミナル上でゴールド・シルバー・レシオをチャートに表示してご確認になれます。

株式市場全体への影響を示すシグナルとしてのゴールド・シルバー・レシオをバックテスト

今年3月15日以来、ゴールド・シルバー・レシオの逆数が総合株価指数のバロメーターとなってきました。例えば、銀/金のクロスレート(XAGXAU)上昇時に株価指数を購入する戦略で利益を得られたことが分かります。

バックテスト分析によれば、この戦略では2020年の取引機会14回のうち11回(78%)で利益を得られ、平均利益は平均損失を上回っています。この結果は、ゴールド・シルバー・レシオと市場との強い相関性を示しています。さらに、シャープ・レシオ(従来使用されている投資リターンの尺度)が示すリターン対リスクの予想比率は、8.68と非常に高い水準となっています。

ゴールド・シルバー・レシオのほかにも、分析や市場の方向性の見極めに役立つ、コモディティと株式の相関性は数多く存在します。詳細情報のほか、これらの分析やバックテストの取得に関するお問い合わせは、ブルームバーグ・コモディティ・スペシャリストまでご連絡ください。ポートフォリオ用各種ツールの最適化や、同様のシグナルが発生した際のアラート通知の設定などに対応させていただきます。