新しい気候変動スコアに関するQ&A:脱酸素化に向けた企業の取り組みを評価

Read the English version published on June 30, 2021.

ブルームバーグNEF(BNEF)のサステナビリティリサーチ統括 Jonas Roozeとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の米州ESGリサーチ統括Eric Kaneが、ブルームバーグの新しい気候変動スコアの背景にある考え方を説明します。

Q

気候変動スコアモデルが必要とされる理由は?

A

Eric:ESG、つまり環境、社会、ガバナンスに関する情報開示が急激に増えています。投資家たちは、気候変動という1つの大きな重点分野で、どの企業が行動を起こしているかを注視しています。大きな問いの1つは、どの企業がうまく低酸素経済に移行できるのか、という点です。

多くの企業が、従来よりさらに野心的な温室効果ガス削減目標を発表する中、投資家たちには次のような疑問が生じています。「これらの目標は、各社の排出量が今後どうなるのかという点において具体的に何を示しているのか。同業他社と比較してどうなのか。外部のベンチマークと比較した場合はどうなのか」弊社では、目標値を用いた排出量の予測、同業他社との比較、外部ベンチマークの参照によって、これらの疑問に答えることができます。

Jonas:投資家にとって最終的に重要になるのは、「低炭素経済に移行した場合、投資先の企業にどのような影響があるか」ということです。投資先企業が低炭素経済で発展できるかどうかを知りたいのです。そこで、膨大なリスク量を数値化する必要が生じます。

Q

ブルームバーグの気候変動スコアリングの手法が他のESG指標と異なる点は?

A

Jonas:まず第一に、この手法では、低炭素経済への移行に向けて企業がどれだけ準備ができているかという重要事項に注目しています。ESGに関して他にも多くの重要事項がありますが、移行準備の欠如は重大なリスクとなるため、当然ながら注目度が高いです。

さらに、弊社が提供するスコアは完全に透明性が確保されており、すべてのデータとスコアリング手法はお客さまに公開されています。単に最終スコアの詳細が提供されるだけでなく、お客さまは個々のデータポイントにまでさかのぼって逆算し、各データポイントがどのように評価されたかを把握できます。

すべてのデータが開示されるため、投資家たちはスコアが実際に何を意味しているのかが理解できます。ルールベースの手法を用いていることから、透明性の水準は一段と高いといえます。

Eric:弊社のスコアは、低炭素経済への移行に成功する可能性が高い企業はどこかという点について、将来の見通しを提供する貴重な指標といえます。また、このスコアは業種別の指標であり、気温と連動したベンチマークと比較して将来の排出量がどうなるかに関する知見を提供します。

Q

データ元はどこですか?

A

Eric:直近の実績については、ブルームバーグ ターミナルで公開されているヒストリカルデータを参照しています。各産業の活動指標別に排出量を標準化して、企業の規模の違いについて調整を加えます。次に、将来の見通し、つまり予測要素に関しては公表されている目標値から情報を取得します。

これらの目標値を使用して排出量予測を生成することで、余計な要素を排除して、「2030年または2050年に、この企業の状態はこうなります」といった予測を示すことができます。

Jonas:弊社は独自のデータを保有しています。例えば、再生可能エネルギー、電気自動車の充電、石油化学製品、バイオ燃料、水素、二酸化炭素の回収・貯留などのプロジェクトレベルでの活動を追跡しています。企業は低酸素化への取り組みを推進するために多くのマーケティング活動を行っていますが、実は情報開示はほとんどありません。弊社のボトムアップで得られたデータにより、企業が実際に行っていることの比較が可能になります。

Q

BIとBNEFのコンポーネントはどのように連携していますか?

A

Jonas:移行と移行準備には2つの側面があります。まず、企業の二酸化炭素排出量という側面です。排出量が多い企業は、必然的に多くの移行リスクに直面します。また、ビジネスモデルの側面もあります。これは、企業がどのように収益を上げ、そしてエネルギー移行の結果、この収益もリスクにさらされるのかどうかという点に関連します。

このため、弊社では二酸化炭素の排出量とビジネスモデルの両方に注目しています。これら2つは、将来の見通しを示す互いに補完し合う要素として、各企業に関する実質的な知見を与えます。BIチームは炭素排出量の部分に焦点を当て、BNEFはビジネスモデルについて深く掘り下げています。

Q

このスコアは石油・ガス産業全体のどの程度をカバーしていますか。また他セクターにも適用できますか?

A

Eric:弊社は電力会社56社、鉄鋼会社17社、石油・ガス会社39社のBIカーボンスコアを発表しました。フレームワークは変わりませんが、モデルはお客さまにとって関連性が高く、かつ使いやすいものである必要があるため、業種固有の要因を取り入れています。現在、金属、鉱業、鉄鋼、化学セクターについても取り組んでいます。できるだけ迅速に多くのセクターにスコアを適用できるように目指しています。

Q

これにより、今後のESG情報開示が強化される可能性はありますか?

A

Eric:企業がどの程度取り組みを進めているのか、どの企業が十分に情報を開示していないかが明らかになれば、透明性を高めるための刺激になると考えられます。弊社のESGデータとプロダクトは、十分な情報を開示していないだろうと考えられる企業に対して、投資家が働きかけるための必要なツールを提供します。

Jonas:このスコアを取りまとめて判明したことの1つは、特定の情報を開示しなかっただけで、スコアが下がってしまった企業があるということです。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。