Z世代に関する5つのBIチャート

Read the English version published on September 29, 2022.

この分析は、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のリージョナル・マーケット・アナリストJohn Leeが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

ある中国企業3社は、「Z世代」をターゲットにした大きな市場成長機会をうまく活用していますが、以下の5つのチャートにその状況が示されています。中国の電子商取引スタートアップ、Sheinが運営する衣料品販売サイト「SHEIN(シーイン)」と、中国のByteDanceが運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の期間に人気が急上昇し、現在ファストファッションとソーシャルメディアの業界全体で同業他社を大きく凌駕(りょうが)しています。Tencent Holdingsは世界のビデオゲームで圧倒的なシェアを占め、現在はeスポーツを中国国外に進出する足がかりとしています。

Sheinはファストファッション業界を凌駕しているのか

創業8年の中国ファッションブランド「Shein」の売上高はここ数年で急増し、2020年は250%増の100億ドル、昨年は60%増の160億ドルを記録しました。意外にも、同社は輸出事業に注力しており、中国国内では衣料品は販売していません。Sheinは第2四半期には米国で最もダウンロードされたショッピングアプリとして、Amazonを上回りました。どうやって、このような急成長が成し遂げられたのでしょうか。Sheinは地理的にサプライチェーンに近いものの、中国での製造はバングラデシュやインドといったライバルの製造拠点と比べると決してコストは安くありません。

競合のオンライン衣料品販売会社、英boohoo groupと同様、Sheinも生産サイクルは週に1、2回ですが、中国から海外への出荷に要する時間でそのスピードは打ち消されてしまうとBIアナリストのCharles Allenは分析します。Sheinが成功した理由として、同社独自の人工知能(AI)技術や、800ドル未満の米国への個人向け出荷は免税となる税制上の抜け穴を利用している点などを指摘する向きもあります。

Sheinは本当に1000億ドルの価値があるのか

Sheinは、Sequoia Capital China、Tiger Global Management、IDG Capitalなど、世界最大級のベンチャーキャピタルの投資家を引き付けてきました。4月に行われた直近の資金調達では、Sheinの時価総額は1000億ドルと、衣料品ブランド「Zara(ザラ)」を運営するInditexと競合ブランド「H&M」を展開するH & M Hennes & Mauritzの時価総額合計をさらに上回る評価でした。Sheinはこのまま急成長を続けることができるのでしょうか。皮肉なことに、ESG(環境・社会・ガバナンス)に敏感なZ世代の顧客からはすでに批判的な声が上がっています。その不満とは、ファストファッション業界全般が抱える共通の問題に対するものです。つまり、過剰消費(多くの場合使い捨て)を助長する無駄の多いビジネスモデル、著作権侵害行為、さらに山積する労働問題などです。

Facebookが抱えるTikTok問題

ショートビデオアプリの「TikTok」は、パンデミックの期間における最大の勝者の1つです。下のチャートでは、米国の成人がソーシャルメディアプラットフォームに費やした総時間が比較されています。TikTokのシェアは2019年の4.5%から2022年には16.7%に急増し、各ソーシャルプラットフォームの中で圧倒的な伸び率を示しています。これに伴い、主にFacebook、次いでSnapchatがシェアを落とす形となりました。一方で、TwitterとInstagramはほぼ横ばいで推移しています。BIアナリストのMandeep Singhは、Facebookの親会社であるMetaの時価総額が今年50%以上減少し同業大型株の中で最大の落ち込みになったのは、ユーザーエンゲージメントでTikTokに劣ったことが一因だと分析します。FacebookとInstagramは対策として、短い動画やリールに力を入れるよう方向転換しましたが、これには批判が集まっており、米実業家でモデルのKylie Jenner氏や米リアリティー番組で人気のKim Kardashian氏が2022年7月にInstagramに「TikTokのコピーをやめる」よう求めたことでも有名です。

最も若いユーザー層を持つTikTokとSnapchat

主要ソーシャルメディア各社にとって憂慮すべきは、TikTokユーザー層の若さです。米国のTikTokユーザー層のうち、Z世代(1997年から2012年の間に生まれた世代)は今年4000万人を超える勢いで、2018年の4倍以上になっています。Z世代は現在、同社の総ユーザーの45%を占め、続いてミレニアル世代が36%を構成しています。同じように若いユーザー層を持つのは、Snapchatだけです。一方でFacebookは、ベビーブーマーのユーザーがZ世代を上回ります。

Tencentはeスポーツで中国国外での成長を目指す

調査会社Newzooによると、Z世代の消費者は平均して週に7時間以上をビデオゲームに費やし、これは他のどのエンターテインメントよりも長い時間を占めています。ビデオゲームは中国の巨大企業Tencentが圧倒的なシェアを占めており、同社は2021年の世界2大モバイルゲーム「PUBG」(韓国のKraftonと共同開発)と「Honor of Kings」を公開しています。BIのNathan Naiduによると、規制強化により自国市場である中国での成長が制限される中、Tencentはますます海外市場に注力するようになっており、eスポーツは新規のゲームプレーヤー獲得のための足がかりとして機能していると分析しています。すでに、賞金額トップ10のeスポーツゲームのうち、6つがTencentまたはTencentが支援する企業のものとなっています。

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