電力、インターネット、ビットコイン、デジタル化、ドル支配

Read the English version published on  April 06, 2021.

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本稿はブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストMike McGloneが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されたものです。

ビットコインは徐々にというよりも急激に普及しており、その普及スピードはさらに加速するとみられ、当面は価格を下支えし、準備通貨としてのドルの支配力を高めることになるかもしれません。ベースラインとなる下値支持線は5万ドルに近づいて切り上がっており、極端な下振れリスクの下値支持線は4万ドルとなっています。6万ドル近辺の上値抵抗線はボラティリティの高まりとともに崩れつつあります。VISA、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーは通貨のデジタル化を積極的に推進しており、ビットコインがグローバルなデジタル準備資産として金に取って代わるプロセスが加速しています。

暗号資産市場全体で投機筋のポジションが過剰になっているにもかかわらず、ビットコインが持続的に足元をすくわれる可能性は相対的に低いと思われます。米国でビットコイン主体の上場投資信託(ETF)が間もなく登場するのではとの観測もまた、ビットコインの強気相場の支援材料となっています。

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低利回り環境でデジタル準備資産ニーズを満たすビットコイン
ビットコインの普及が進み、独特の人間の心理的側面がさらにその認知度を高める局面に入ったと思われます。未曾有の低金利・株高環境にあって、ビットコインの価格上昇も続いており、資産運用者は、少なくとも多少の資金をビットコインに割り当てる覚悟がなければ、リスクにさらされることになるかもしれません。

ビットコインの下値支持線は5万ドルに上昇
ビットコインの価格は1カ月以上5万8000ドル近辺でほとんど動いておらず、強気市場のなかで次の上げ相場を待って一服しているように見えます。20週間移動平均線は初めて4万ドルを突破しました。それと同時に、ビットコインに対し、ブルームバーグ・ギャラクシー仮想通貨インデックス(BGCI)で測定される市場全体の動きは下向きとなっています。ベンチマークとなる暗号通貨がグローバルな準備資産として採用されるということは、主流資産としての基準を満たしたことになり、暗号通貨の準備資産に向けた機運が高まっているようです。

このシナリオによって、ここ数年間幅広いファンダメンタルズとオンチェーンデータを中心としていたブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析の焦点は、2021年にもっとテクニカルな指標へと切り替わっています。4-6月期には、6万ドルの上値抵抗線を突破して8万ドルに近づく可能性が高まっています。下値支持線である4万ドルに向かって反落する可能性は低いと、BIは見ています。

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

下値抵抗線、イーサリアムは2000ドル、ビットコインは6万ドル
時価総額でビットコインに次ぐ規模のイーサリアム(ETH)は2018年7-9月期以降ほぼ同様の比率で、ビットコインにとって強気の代理指標となっています。BIの見解では、イーサリアムが2000ドル以上を維持して新高値を更新していることがビットコインの価格見通しをより明るくしていると思われます。DeFi(分散型金融)およびDEX(分散型取引所)の暗号トークン一次プラットフォームであるイーサリアムは特に、価格水準が大台を越えるたびにビットコインの先行指標となってきました。18年と20年1-3月期の暴落時にはビットコインや市場全般が底値をつけたように、イーサリアムの下値支持線は100ドル近辺で推移していました。

21年初めに1000ドルを突破した際は、ビットコインも同様に3万ドルを突破しました。BIではイーサリアムのほうがフィンテックやナスダック100指数との相関が強く、グローバルなデジタル準備資産としてビットコインと競合する可能性は低いとみています。

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

ビットコインは再び上昇機運が高まる
2021年のビットコインは、過去のパターンが繰り返されるとすれば、テクニカル要因から一段の上昇が見込まれます。最初の暗号通貨であるビットコインの価格が年間で大幅上昇する際にみられる低ボラティリティと半減期という共通の要素がそろっており、BIのグラフでは、13年に約55倍、17年に15倍上昇した時と同様の条件であることを示しています。21年にもこれらの年と同様の極端な価格上昇となれば、11年の高値以来の回帰分析に基づく価格は40万ドルに近づくことになります。9月にはビットコインの180日間ボラティリティは15年10月以来の最低値近辺でした。当時の平均価格からビットコインの価格は17年のピークまでに50倍以上上昇しました。

21年は、低ボラティリティに加え、供給半減期の翌年であることも13年と17年との共通点です。当初の下値支持線は3月25日までの21年の平均価格4万4000ドルです。

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

テスラがビットコインのリスクオフを促す可能性
時価総額で世界最大の自動車メーカー、テスラはビットコインへの投資を発表しました。それが暗号通貨にとっての転換点を示す可能性があります。BIの見解では、株高で資産を増やした企業がビットコインに一部分散投資することは合理的です。暗号通貨の成熟プロセスにとって次の試金石は株価が下がった時にどう動くかということでしょう。BIのグラフは、テスラが3月25日に初めてビットコインの購入を発表して以来、テスラ株が25%下落する一方でビットコインは35%上昇したことを示しています。BIの見解では、4万ー6万ドル間での調整が次の上昇局面のベースを形成していると思われます。

お金は最も待遇のよい場所に流れるというルールがビットコインにとって追い風となり続けているようです。S&P500種指数構成銘柄の最重要銘柄の1つが下落し続けるのであれば、グローバルなデジタル価値保存手段となりうるビットコインの下支えとなると思われます。

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。