脚光を浴びるESG ETF、パフォーマンスは低空飛行

本稿は、ブルームバーグ インテリジェンスのアナリストである Athanasios PsarofagisとEric Balchunasによって執筆され、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

環境、社会、ガバナンス(ESG)にフォーカスしたETFは2005年からありますが、最近ではその資産内容以上にマスコミの脚光を浴びているようです。ESG原則を順守する企業を選択するスコアリングシステムは複雑に進化してきましたが、ベンチマークを常に上回るパフォーマンスを示すETFはまだありません。

実績不足が資産獲得の妨げに

ESG商品が数多くローンチされるようになったのは比較的最近で、現状では供給が需要を上回っているようです。実績と呼べるほどの実績があるブロードESG ETFは、iシェアーズMSCI KLD400ソーシャルETF(DSI)とiシェアーズMSCI米国ESGセレクトETF(SUSA)だけです。DSIは2006年、SUSAは2005年に発表され、両者ともほとんどの保有資産がESG原則を順守しています。資産規模はそれぞれ10億ドルと7億400万ドルです。2016年になって多くのESG ETFが発表されましたが、これらのETFはまだ2年もたっておらず、投資家に示せるほどの実績はほとんどありません。

市場をアウトパフォームできないESG

米国エクイティに投資するESG ETFで過去数年に市場を上回るリターンをあげたものはありません。3年以上の実績があるブロードESG ETFは、上記のiシェアーズMSCI KLD400ソーシャルETF(DSI)とiシェアーズMSCI米国ESGセレクトETF(SUSA)だけで、両者とも10年以上前に始まったものです。年間手数料は0.5%で、パフォーマンスは両者ともS&P500連動ファンド(3年および5年)を下回っています。

2大ESG ETFはハイテクをオーバーウエート、金融とエネルギーをアンダーウエート

上記2大ESG ETFのセクター別エクスポージャーを見てみましょう。 DSI と SUSAは両者とも、エネルギー、金融、ヘルスケアをアンダーウエートし、IT、工業、不動産をオーバーウエートしています。DSIを例に取るとハイテクの比率は32%で、S&P500を8%上回っています。

重複もあるが、異なる銘柄も

上記2大ESG ETFであるDSIとSUSAは、広範な米国株投資ユニバース(MSCI)から構成銘柄を選択しているため、当然S&P500指数と重なる銘柄があります。しかしながら保有上位の銘柄やそのウエートが両者の間で大きく異なるものもあります。たとえば、S&P500の最大銘柄であるアップルは、DSIには採用されていません。以下の表はDSIの保有上位銘柄と、それらの銘柄のS&P500におけるウエートを示したものです。

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