より良い職場の実現に向けたアライアンス(協力体制)とソリダリティ(連帯)

~アジアにおけるLGBTIインクルージョンの進展~

5月17日の国際反ホモフォビア・反トランスフォビアの日(IDAHOT:International Day Against Homophobia and Transphobia)は、2018年で14年目を迎えました。今では130を超える国々に普及しているIDAHOTは、LGBTI (Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Intersex) の権利侵害に対する問題意識を高め、LGBTIの権利向上を訴えるために世界中でさまざまな行事を開催することを目的としています。

アジアにおけるLGBTIの人権擁護、LGBTIコミュニティの受け入れや認識向上は遅れており、特に、職場環境においてはこれまで大きな進展が見られませんでした。USAID(米国国際開発庁)およびUNDP(国連開発計画)が2012年から2014年にかけて実施した大規模調査では、アジアに住むLGBTIは、LGBTI政策に対して消極的な環境や職場におけるマイナスイメージや差別により、大きな困難に直面していることが明らかになりました。

一方で、昨年は政策面とビジネス面の両面において、以下をはじめとする大きな進展が見られた年となりました。

  • 2017年5月、台湾はアジアで初めて同性婚を合法化する決定を下しました。
  • 日本では、福岡県がレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのカップルのパートナーシップ宣誓制度を導入しました。同県はこのような制度を導入した国内7つ目の自治体です。
  • 2022年に開催されるオリンピック形式の「ゲイ・ゲームズ」の開催地として香港が選ばれました。同性パートナーシップが法的に認めてられていない開催地での開催はこれが初めてとなります。
  • オーストラリアのシドニーでは、IDAHOBIT(国際反ホモフォビア・反トランスフォビア・反バイフォビアの日)である5月17日に合わせてブルームバーグのオフィスビルがレインボーカラーにライトアップされました。
  • また、オーストラリアでは、著名なLGBTIの健康推進団体であるACONが9回目となる2018年オーストラリアの職場における平等インデックス(AWEI)アワードにおいて企業リーダーを表彰しました。

このような各国における進展は、グローバル企業によるLGBTIインクルーシブな職場環境づくりを後押ししています。こういった取り組みと引き換えに、企業は目に見えるプラスの効果を得ています。インクルーシブな職場環境はビジネスパフォーマンスの向上にもつながっています

ブルームバーグにおいてアジア太平洋地域のダイバーシティ&インクルージョンを統括するヘイデン・マヤヤスは、「アジア太平洋地域の多くの国々では、LGBTIコミュニティに対する認知度がいまだに低く、LGBTIの基本的保護が十分ではありません」と述べた上で、「企業は差別やハラスメントに対する方針において性的指向や性表現差別に反対する姿勢を明確に示すことができ、そしてこれを行う責任を負っています」と指摘します。

国際反ホモフォビア・反トランスフォビアの日(IDAHOTInternational Day Against Homophobia and Transphobia)に合わせてライトアップされたブルームバーグシドニーオフィスの屋上

アジアにおけるコーポレートダイバーシティ&インクルージョンの取り組みはグローバル規模の大きな進展を見せています。例えば、ブルームバーグの「ダイバース・ボイス」の取り組みはアジアで始まり、のちに世界各国のニュースルームに広がりました。この取り組みにより、業界において意義のある、そして多様な意見が尊重されるコミュニケーションを推進し、コンテンツの公正さと適切なバランスが保たれています。

また、投資家のニーズの高まりに伴い、社会・ガバナンスに関するデータを開示する企業が増えています。ブルームバーグは先日、公平な職場・コミュニティづくりに対する企業のコミットメントを測る2019年男女平等インデックス(GEI)への参加受付を開始しました。2018年のインデックス構成銘柄企業は日本とオーストラリアの企業がそれぞれ3番目、4番目に多かったほか、シンガポールと台湾の企業も初めて加わりました。

マヤヤスは、「アジアにおけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みは一定の成果を見せていますが、職場においてダイバーシティ&インクルージョンをさらに進めるためには一層の努力が必要です」とし、次のようにも述べています。「今年のテーマである『IDAHOT – ソリダリティのためのアライアンス(連帯するための協力体制)』は、さまざまなコミュニティやグループにわたる差別要因の交差にも当てはまります。ソリダリティのためのアライアンスを実現するには、企業は地域での多様なリーダーシップパイプライン構築、アンコンシャス・バイアスへの対処、よりインクルーシブな職場環境構築のためのD&Iデータ開示といった、実践的な取り組みを優先的に進めなければなりません。」