FX自動化でトレジャリー業務の停滞を解消

本稿は、ブルームバーグFX電子取引のグローバルヘッドであるTod Van Nameが執筆しました。Read the English version published on February 28, 2019.

業務フローを自動化すればトレジャリー部門のオペレーションがスリムとなり、効率性が向上してコストを削減できます。専門分野に特化したソフトウエアによりトランザクションが可視化されましたが、幾つかの主要な業務プロセスはいまだに手作業で行われています。

その1つが外国為替取引です。旧来のレガシーシステムが使われていることが多く、デジタル業務フロープラットフォームとの相互運用性が低いため、自動化することが難しいからです。しかし、企業財務の最重要分野での自動化を見送ると、日常のオペレーションが不必要に停滞し、余計なコストがかかります。

為替管理にかかるコストを削減し時間を節約

為替取引は、製品を輸出入したり、海外に子会社があったり、在庫や原材料を海外で保有する企業には必要な取引ですが、大変時間がかかります。さまざまな通貨での取引があり、そのポジションを外国為替市場の変動からヘッジする必要があるからです。

以前は、各海外拠点が為替取引を現地で管理していました。しかし、自動化により為替取引の一元管理が可能となったため、各拠点の為替取引をまとめて執行できるようになり、個々のトランザクションごとにスプレッドを支払う必要がなくなりました。

また、これまでは数時間かかっていた業務プロセスがデジタル化によって数分で済むようになり、トレジャリー部門は浮いた時間をより収益性が高い業務に回せるようになりました。高度な執行、会計、報告機能を備えた電子取引プラットフォームが、一貫したワークフローで従来の業務プロセスを瞬時に完了させてくれるからです。

深い流動性プールにアクセスする

為替取引はカウンターパーティなしにはできません。従来、カウンターパーティを見つけるためには、銀行その他の流動性提供者に何本もの電話をかける必要がありました。しかし、この時間と労力を要する作業には大きな欠点があります。せっかく優位な取引チャンスをマーケットで見つけても、最良価格を探して電話をかけている間にそのチャンスが失われ、結果的に当初の想定より不利な価格で取引せざるを得ないリスクがあるからです。

そうしたリスクを効果的に回避する方法が電子取引プラットフォームです。電子取引プラットフォームを使えば複数の流動性提供者の価格を同時に見ることができるため、取引戦略に最も適合するカウンターパーティを瞬時に見つけることができます。ブルームバーグの電子取引システムであるFXGOは、従来の手作業のプロセスを1台のターミナル上でデジタル化しました。350行を超える銀行が構成する深い流動性プールの中から最良価格を得ることができます。

また、為替取引においては良好なコミュニケーションが大変重要です。ほとんどすべてのデジタルシステムにはメッセージプラットフォームが組み込まれていて、トレーダーはそれを使って取引を執行したり、情報を共有したりしています。中にはそうしたコミュニケーションの内容に従って自動的に作動するように設定されたシステムもあります。以前は手書きのメモと電話録音システムに頼っていた為替取引ですが、新たなメッセージシステムが取引執行、統合、フォローアップをサポートするようになったため、高い利益が見込まれるチャンスを逃したり指示を誤解したりするリスクが大幅に削減されました。

また、FXGOのチャット機能を使って有益な情報を収集することもできます。音声通話にも適用可能で、例えば電話による取引を当事者が思い出せない場合に会話をスキャンして取引確認に使うことができます。また、業務プロセスを自動化して上位の取引システムに統合することにより、チームの活動を監督したり、市場の動きをモニターしたりすることができ、さらにオーダー処理時のヒューマンエラー発生リスクを削減することができます。

現在、規制環境は常に流動的で、毎年新たな規則が導入されています。ここ数年はコンプライアンス違反に対する罰則が大幅に強化されているため、規制変更をフォローすることはトレジャリー部門の重要な業務となりました。今ではトレジャリー部門は、企業の法的地位および財務健全性のゲートキーパーとなっています。

コンプライアンス順守状況のチェック機能を取引業務フローに組み込むことにより、常に変化する規制要件に対応するコンプライアンス手続きを自動化して高い効率性を達成することができます。FXGOは業務分野ごとの規制要件あるいは各国当局により課される規制要件の変化を追跡し、必要なオペレーション上の要件をすべての取引プロセスにシームレスに適用します。これにより、規制環境がどれほど頻繁に変更されようとも、それによる業務中断を気にすることなくヘッジ戦略を継続することができます。

自動化しないことのコスト

価格発見(price discovery)から取引執行、その後の報告に至るまで、取引の全プロセスを1台のプラットフォーム上で行うことにより、トレジャリー部門は企業の財務活動全体を把握することができます。これは手作業の業務フローでは絶対に不可能なことです。業務フローを自動化するための技術的なハードルに最初は尻込みするかもしれませんが、逆に自動化を選択しないことによるコストは、効率性が向上しないということだけに留まらず、機会損失という具体的に換算できる形で現れるでしょう。